インハウスローヤーとは|採用増加の背景と法律事務所と違う働き方・年収事情を徹底解説

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弁護士の働き方が多様化して、弁護士事務所で働くだけが全てではなくなっています。最近では働き方やワークライフバランス、キャリアアップを目指してインハウスローヤー(組織内弁護士)という道を選ぶ弁護士も増えているようです。今回の記事ではインハウスローヤーの役割やどうすればインハウスローヤーになれるかなど紹介します。

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インハウスローヤーとは

インハウスローヤーとは、組織内弁護士(企業内弁護士)ことを言います。日本には、日本組織内弁護士協会(Japan In-House Lawyers Association JILA)というインハウスローヤーによって組織される任意団体も存在しています。

企業内弁護士とは

日本弁護士連合会の弁護士職務基本規定には以下の通り組織内弁護士の職務について説明があります。

第五章 組織内弁護士における規律

(自由と独立)
第五十条 官公署又は公私の団体(弁護士法人を除く。以下これらを合わせて「組織」と
いう。)において職員若しくは使用人となり、又は取締役、理事その他の役員となっている弁護士(以下「組織内弁護士」という。)は、弁護士の使命及び弁護士の本質である自由と独立を自覚し、良心に従って職務を行うように努める。

(違法行為に対する措置)
第五十一条 組織内弁護士は、その担当する職務に関し、その組織に属する者が業務上法
令に違反する行為を行い、又は行おうとしていることを知ったときは、その者、自らが所属する部署の長又はその組織の長、取締役会若しくは理事会その他の上級機関に対する説明又は勧告その他のその組織内における適切な措置をとらなければならない。

引用:日本弁護士連合会|弁護士職務基本規定

上記の通り、弁護士事務所など弁護士法人・弁護士事務所以外で官公庁や企業の職員・取締役などとして働く弁護士のことを組織内弁護士といいます。特にその中でも企業に所属する弁護士を企業内弁護士と呼び、日本で活躍する組織内弁護士(インハウスローヤー)のほとんどは企業内弁護士です。多くのインハウスローヤーは企業の法務部に所属することになるようです。

企業はなぜインハウスローヤーを雇うのか?

企業がインハウスローヤーを雇うにはさまざまな理由があります。

一番の理由としてはコスト削減です。たとえば、大企業で契約書のチェックや訴訟の弁護など一年を通して何度も弁護士に依頼する場合、弁護士を一職員として雇ってしまったほうが安く済む場合があります。

また、弁護士に相談したい案件が発生したときに、社内に弁護士がいれば気軽に相談ができますし、迅速な対応にも期待できます。弁護士事務所などに依頼するならばアポイントメントなど日程調整をしたり、料金面の調整をしたりと時間がかかりますが、そのような必要はありません。

顧問弁護士と顧問契約を結ぶ方法もありますが、やはり社内に弁護士がいる方がスピーディーな対応に期待ができます。他にもコンプライアンスの勉強会を開くなど、インハウスローヤーがいることにより社内全体のコンプライアンス意識が高まることにも期待できます。

このように会社の規模や利用頻度にもよりますが、インハウスローヤーを雇うことによるメリットは大きいのです。

弁護士がインハウスローヤーに転職するには|企業内弁護士の転職事情と転職成功のコツ

 

インハウスローヤーが多い企業と企業内弁護士の増加背景

次にインハウスローヤーが多い企業を紹介します。

企業内弁護士を多く抱える企業上位20社

日本弁護士連合会が発表した『企業内弁護士を多く抱える企業上位20社(2001年~2019年)』によると、2019年に企業内弁護士を雇う企業数は1,139社、採用人数は2,418人となっていました。

2019年(6月)
順位 企業名 人数
1 ヤフー 34
2 野村證券 25
3 三井住友銀行 24
3 三菱商事 24
5 LINE 23
6 KDDI 19
6 丸紅 19
6 三井物産 19
9 アマゾンジャパン 18
9 パナソニック 18
9 三菱UFJ銀行 18
12 三菱UFJ信託銀行 17
13 三井住友信託銀行 16
14 双日 15
15 NTTドコモ 14
15 住友電気工業 14
15 第一生命保険 14
15 豊田通商 14
15 みずほ証券 14
20 アクセンチュアほか2社 13

1位はヤフーの34人で2位の野村證券以降の水準と比べるとずば抜けて多いです。ランクインしている企業は金融系・商社・情報通信などの大手企業が名を連ねています。

参照:日本弁護士連合会|企業内弁護士を多く抱える企業上位20社(2001年~2019年)

企業内弁護士は増加傾向にある

日本弁護士連合会の企業組織内弁護士数の現状推移によると、全国の企業内弁護士数は、2018年6月30日現在で2,161人、任期付公務員数は2018年6月1日 現在で207人となっています。なお、任期付公務員数は、2018年6月1日時点で弁護士登録をしている者に ついて計上しています。

企業内弁護士の数は2008年には266人しかいなかったのに対して、2018年には2,161人と約8倍に増えました。また、中央省庁等や地方公共団体において、任期付きで採用された職員任期付公務員についても2008年の61人から2018年は207人と約3倍に増えています。

このようにインハウスローヤーはこの数年間で急増していることが分かりました。現在はすべての上場企業がインハウスローヤーを雇っているわけではなく、今後日本の上場企業がそれぞれ1名採用しただけで約3,500人となります。将来的には、インハウスローヤーの総数が 5,000人を超えることもありえるかもしれません。

参照:日本弁護士連合会|企業組織内弁護士数の現状推移

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インハウスローヤーの役割

次にインハウスローヤーの役割について紹介します。

法的リスクを抑えることで利益を最大化する

万が一、取引先から訴訟を起こされて損害賠償を支払うようなことになれば、せっかく営業活動により利益を出すことができても手元にお金が残らなくなってしまいます。このような法的リスクを抑えるためにインハウスローヤーは日ごろから各部署からの法律相談を受けたり、訴訟になりそうな案件の弁護をして和解策を考えたりということを企業から期待されます。

契約書作成時の助言

契約書を作成するときは、後から取引先と揉めることがないように法的な抜け漏れがないものを作成しなくてはいけません。インハウスローヤーは契約書作成時にリーガルチェックをすることはもちろん、取引先から受け入れた契約書でこちらにとって不利な条件が記載されていないかなどをチェックします

もし、問題になりそうな文言があった場合は変更したり、言い回しを変えたりするような助言を期待されているのです。

海外取引やM&A案件のサポート

海外企業との取引やM&A(合併・買収)をする場合、非常に複雑な法律が絡み合うことになるので、弁護士によるリーガルチェックは必須となります。

特に大企業でたくさんの取引がある場合や新しい国や企業との取引が始まる場合は入念なチェックが必要です。

そのため、海外の法律に詳しかったり、M&A計画の立案・実行までできたりするような人材は重宝さます。

社内規定の作成

インハウスローヤーの仕事は取引先に対してのものだけではなく、社内規定の作成など社内に対するものもあります。

特に最近では残業や休日出勤などの労務環境に対するトラブルが多いため、そのような問題が起こらないための社内規定を作成することも増えています。

このような規定をしっかり作ることにより、従業員の権利を守ることができますし、会社としても何か問題が起きた場合に従業員からの訴訟を起こされるリスクが減るので、非常に重要なことなのです。

コンプライアンス意識の浸透のための活動

社員がコンプライアンスを守らないことで企業として大きな損害を被ることや、取引先やお客さまに迷惑をかけて、その企業の社会的信用が失墜してしまうこともあります。

場合によっては世間からバッシングを受けて利益を出せなくなったり、法律に触れるようなことであれば業務停止などの厳しい処分を受けたりすることもあるのです。

このようなことに巻き込まれないように、コンプライアンスの意識浸透のために勉強会を開いたり、マニュアルを作成したりすることもインハウスローヤーの仕事なのです。

 

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インハウスローヤーの報酬

一般的に弁護士の給与水準が高いと言われていますが、インハウスローヤーの報酬はどのくらいあるのでしょうか?

報酬は年750〜1,250万円のレンジが一番多い

日本弁護士連合会が発表した『第2回「企業内弁護士の現状キャリアパス調査」に関する調査結果』でインハウスローヤーの報酬が紹介されています。

この結果によると、500万円未満が7.9%(46人),500〜750万円が 32.2%(187人),750〜1,250万円未満が36.1%(210 人),1,250万円以上が23.8%(138人)となっており、750〜1,250万円未満のレンジが一番多いということがわかります。

参照:日本弁護士連合会|第2回「企業内弁護士の現状キャリアパス調査」に関する調査結果

年収5,000万円を超える人も

インハウスローヤーの世界は、年収500万円の人もいれば年収何千万円を手にする人もいます。特に外資系の金融機関は年収が高いと言われていますが、そこで働くインハウスローヤーの給与水準も高く、中には年収5,000万円を超える人もいます。

このように所属する企業により報酬は大きく異なるので、業務内容とそれに見合った報酬なのかはきちんと確認する必要があるといえるのではないでしょうか。

弁護士の平均年収は765万円という現実|弁護士が稼げなくなっている理由と年収を上げる方法

年収に男女差がある

日本弁護士連合会が発表した『第2回「企業内弁護士の現状キャリアパス調査」に関する調査結果』では、男女間の年収差についても記載があります。

インハウスローヤーの年収には男女差があり、先ほどの調査で年収が「1250万円以上」と答えた割合が男性で27. 3%であるのに対し女性は18.0%でした。また、「500万円未満」と答えた割合が男性5.3%であるのに対し女性は12.2%と、女性の方が男性に比べると年収が低い傾向にあることが分かります。

参照:日本弁護士連合会|第2回「企業内弁護士の現状キャリアパス調査」に関する調査結果

インハウスローヤーの特徴

続いて、インハウスローヤーの特徴について紹介します。

弁護士事務所勤務より女性比率が高い

2018年3月末時点で弁護士登録している全弁護士40,066人のうち,女性弁護士は7,462人(18.6%)と依然女性弁護士が少ないということが分かります。しかし、インハウスローヤーに関しては約40%が女性といわれており、弁護士事務所勤務の女性弁護士よりインハウスローヤーとして働く女性弁護士が多いのです。

ワークライフバランスに対する満足度が高い

インハウスローヤーに女性が多い一番の要因として、ワークライフバランスに対する満足度が高いということが挙げられます。一般的な弁護士事務所では、弁護士と業務委託契約を交わすことになることが多く、弁護士事務所で働く弁護士は「労働者」ではないので労働基準法や労働契約法による保護は受けることができません。

弁護士事務所は男性社会ということもあり、残業も多くクライアントに対する接待などが色濃く残っているのです。そうした場合、小さな子どもを育てるママ弁護士には働きづらい環境になります。

しかし、多くの大手企業は働き方改革を積極的に行い、現在は残業を減らす方針となっています。この方針に則り、その会社で働く弁護士も残業が少なくなります。

産休・育休・時短勤務制度がある場合は他の社員と同様に利用する権利が発生しますので、このような制度が使えるとワークライフバランスも取りやすく、無理せずに働くことができるのです。

実際に日本弁護士連合会が発表した『第2回「企業内弁護士の現状キャリアパス調査」に関する調査結果』内のワークライフバランスに対する満足度の調査では、大変満足しているが41.7%、やや満足が39.4%と非常に高い比率になっています。

大変満足 やや満足 どちらでも やや不満 かなり不満
ない
業務内容 104 294 100 63 20
17.9% 50.6% 17.2% 10.8% 3.4%
専門性・スキルアップ 77 263 118 84 39
13.3% 45.3% 20.3% 14.5% 6.7%
年収 55 229 139 120 38
9.5% 39.4% 23.9% 20.7% 6.5%
ワーク・ライフ・バランス 242 229 69 36 5
41.7% 39.4% 11.9% 6.2% 0.9%

また、日本組織内弁護士協会の『企業内弁護士に関するアンケート集計結果』によると、インハウスローヤーの1日の平均勤務時間は8〜9時間が37%、9〜10時間が35%と残業がそこまで多いような印象はありません。休日出勤がほとんどないと答えた人も82%と、実際の数値を見てもワークライフバランスがとりやすい環境であることが分かります。

参照:日本組織内弁護士協会|企業内弁護士に関するアンケート集計結果

インハウスローヤーになるには

では、インハウスローヤーになるためにはどのようなステップを踏む必要があるのでしょうか。

インハウスローヤーのキャリアパスは多様

インハウスローヤーになる人のキャリアパスは多様です。大学卒業後直ぐに司法研修所に入社した人、大学卒業後に法科大学院に在籍した人、一度社会人経験を積んだ後に法科大学院に在籍した人などさまざまなキャリアパスがあることが分かっています。

法科大学院に在籍した経歴の人割合が多い

日本弁護士連合会の『第2回「企業内弁護士の現状キャリアパス調査」に関する調査結果』内の調査によると、法科大学院に在籍していた経歴を有する人の割合は、大学卒業後直ぐに在籍した人とその他の経験もあり在籍した人合わせて56.5%(328人) となっています。

参照:日本弁護士連合会|第2回「企業内弁護士の現状キャリアパス調査」に関する調査結果

法律事務所に勤務した後に転職する人も

法律事務所の弁護士として勤務した後に、インハウスローヤーに転職する人もいます。司法修習終了後の経歴の調査結果によると、インハウスローヤーになった人の内、他の経歴がある人は全体の72.6%でした。その中で法律事務所勤務を経てインハウスローヤーになった人の割合は87%となっています。

先ほども述べた通り、法律事務所では残業が多く育休や時短制度なども使いにくいという理由から、比較的ワークライフバランスが取りやすいインハウスローヤーを目指すケースが多いようです。

また、インハウスローヤーとして働きたい場合、若年層からキャリア形成が必要となります。「若いうちに企業法務の経験を積みたい」と思う気持ちからインハウスローヤーへの転職を考える人も存在するのです。

弁護士専用の就職エージェントを利用して就職活動

インハウスローヤーに、「現在の勤務先企業に就職する際に役に立った就職活動について」というアンケートを取ったところ,「就職エージェントの紹介を受けた」が58.5%と半数を上回っていました。2位は知人などによる紹介、3位は日本弁護士連合会の「ひまわり求人求職ナビ」を見て応募したという結果となっています。

就職エージェントの中には、インハウスローヤーの就職に強いエージェントもあります。働き方や希望勤務地・年収などを伝えることで、希望に合った就職先を見つけ出し、面接のアポイントメントをとってくれるところもあるのです。

日本弁護士連合会事務局が運営する「ひまわり求人求職ナビ」は、法律事務所、企業・団体、官公庁・自治体等からの弁護士及び司法修習生に対する「求人情報」と弁護士及び司法修習生の「求職情報」を掲載するシステムです。

ひまわり求人求職ナビというシステムがありながら就職エージェントを利用して就職をした人が多いということから、就職エージェントに対して利便性が高いと感じている弁護士が多いと想像できます。

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おわりに

「ワークライフバランスが取りやすい」という点でインハウスローヤーに魅力を感じる人が多いようですが、実際の統計でも満足度が高く、残業時間も弁護士事務所勤務よりも短いということが分かりました。

就職する企業によっても働き方や期待される役割は異なりますが、インハウスローヤーの需要は年々増えており、弁護士資格を持つ人にとっては有利な環境が続くでしょう。

ただし、企業で働く場合は弁護士事務所のように法務に明るい人ばかりと仕事をする訳ではないので、インハウスローヤーが少ない企業へ就職となれば、責任や負担が大きくなる可能性もあります。

求められる能力や知識、仕事の範囲を確認した上で就職先を決めることでミスマッチを減らせるのではないでしょうか。

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【厳選】弁護士の転職に強い転職エージェント

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特にインハウスローヤーへの転職において、一般的な転職活動の経験がない弁護士にとって『履歴書』『職務経歴書』の書き方にコツがあることは意外と知られてません。また、インハウスローヤーを募集する企業で、どの様な業務が期待されているのか、外からではわからないことも多くあります。

基本的に法務求人は『非公開案件』が多く、上場を控える企業などは他社に内情を知られるリスクを極力抑える傾向にあります。そのため、弁護士や法務部門の求人は、『転職エージェント』任されているのが、基本的な現状です。下記に、その弁護士の転職業界の中で長年活動してきたエージェントを3つ厳選しました。

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