弁護士がインハウスローヤーに転職するには|企業内弁護士の転職事情と転職成功のコツ

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弁護士がインハウスローヤーに転職するためにはどうすれば良いの?

企業などで一社員として働くインハウスローヤー(組織内弁護士)の数が年々増えているようですが、一度法律事務所を経験した後にインハウスローヤーを目指す方もいらっしゃると思います。

なぜ弁護士事務所勤務よりもインハウスローヤーを選ぶのでしょうか。

弁護士がインハウスローヤーへ転職する理由や、報酬はどうなるかなどを紹介します。

 

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企業によるインハウスローヤー採用の背景

10年ほど前、インハウスローヤーを採用する企業はほとんどありませんでした。しかし、最近ではインハウスローヤーを雇う企業も増えています。どのような背景があるのでしょうか。

インハウスローヤーが増えている理由

インハウスローヤーが増えている背景として、弁護士の供給多過が第一の要因と言えます。弁護士の人数が増えていることにより、司法試験に合格しても弁護士事務所に就職できるわけではなくなっているのです。

また、企業としてもグローバル化・M&A・労務トラブルの増加など、複雑な法関係で弁護士に相談するケースが増えています。顧問契約をするよりインハウスローヤーとして雇うことで大きなメリットを享受できると考え、インハウスローヤーの需要が増えてきているのです。

インハウスの弁護士数推移

日本弁護士連合会が発表した『企業組織内弁護士数の現状推移』によると、全国の企業内弁護士数は、2018年6月30日現在で2,161人、任期付公務員数は2018年6月1日 現在で207人となっているとのことです。

組織内弁護士の推移

参考:企業組織内弁護士数の現状推移

企業内弁護士の数は2008年には266人しかいなかったのに対して、2018年には2,161人と約8倍になりました。中央省庁等や地方公共団体において、任期付きで採用された職員任期付公務員についても2008年の61人から2018年は207人と、一般企業・官公庁・地方自治体での需要が増えていることが分かります。

また、インハウスローヤーが在籍する企業は全国で1,029社となりました。インハウスローヤーの数が1位となっているヤフーでは32人の弁護士が所属しています。10人以上のインハウスローヤーが所属する上場企業も増えており、インハウスローヤーの需要が今後も増えていくと予想できます。

表:ジュリナビ 2019年全国インハウスローヤーランキング

順位 変動(昨年順位) 企業名 都道府県 弁護士数 昨対比増減数
1 →(1) ヤフー株式会社 東京都 32 +4
2 ↑(3) 株式会社三井住友銀行 東京都 24 +2
2 ↑(4) 三菱商事株式会社 東京都 24 +3
2 →(2) 野村證券株式会社 東京都 24 +1
5 ↑(10) LINE株式会社 東京都 20 +6
5 ↑(6) 三井物産株式会社 東京都 20 +5
7 ↓(6) 丸紅株式会社 東京都 18 +3
7 ↑(13) 三井住友信託銀行株式会社 東京都 18 +5
9 ↑(13) 双日株式会社 東京都 17 +4
9 ↓(5) 株式会社三菱UFJ銀行 東京都 17 +1
11 ↑(24) KDDI株式会社 東京都 16 +6

参考:ジュリナビ|2019年全国法律事務所・インハウスローヤーランキング200

 

弁護士がインハウスに転職する理由は?

弁護士事務所で勤めていた弁護士がインハウスローヤーへ転職するケースも増えています。どのような背景があるのでしょうか?

ワークライフバランスが取りやすい

一般的な弁護士事務所では、弁護士と業務委託契約を交わすことが多いです。弁護士事務所で働く弁護士は「労働者」ではないので、労働基準法や労働契約法による保護は受けることができません。そのため、残業や絶対が多くなっても文句が言いにくい環境にあるようです。

一方で、インハウスローヤーを迎えるような大手企業は、世間からの目もあるので積極的に働き方改革を行っており、残業を減らす取り組みをする企業が多くなっています。また、産休・育休・時短勤務制度がある場合は他の社員と同様にインハウスローヤーも利用することができます。このような制度が使うことにより、プライベートの時間もとりやすくなり、特に女性弁護士にとってはワークライフバランスがとりやすく人気があるのです。

日本弁護士連合会が発表した『第2回「企業内弁護士の現状キャリアパス調査」に関する調査結果』内のワークライフバランスに対する満足度の調査をしていますが、大変満足しているが41.7%、やや満足が39.4%と非常に高い比率になっています。

組織内弁護士の満足度

参照:日本組織内弁護士協会|企業内弁護士に関するアンケート集計結果

弁護士としての経験値を上げるため

一般民事の担当は歳をとってからもできますが、インハウスローヤーとして働くことで予防法務という弁護士事務所では経験できない体験ができます。予防法務とは、企業が訴訟を起こされることを避けるために、あるいは法的な紛争が発生してもスムーズに解決できるようにする取り組みです。

このような経験をして弁護士としての経験値を上げて、また弁護士事務所で民事の担当になれば、インハウスローヤーの経験を生かした助言をするなど頼りがいのある弁護士になることができます。

大企業勤務になるとグローバルに活躍できるから

大企業の場合、海外との取引を始めるにあたり、英文で契約書類を作成したり、場合によっては現地まで出向きプロジェクトに不備がないかなどの確認をしたりすることもあるでしょう。

民事を扱う法律事務所では経験できないようなグローバルでダイナミックな案件に携わることもできるので、グローバルに働きたいと思う人に向いています。

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インハウスローヤーになるメリットは?

インハウスローヤーはまだ日本では少ない役職ですが、海外ではその存在を高く評価して、CEO・CFOなどに並ぶCLO(最高法務責任者)という主要ポストに抜擢されることもあります。上記でも説明した通り、日本でもインハウスローヤーの数は右肩上がりとなっているので、今後はCLOというポストも増えることが予想できます。

CLOになることができれば経営陣として企業の経営に参加することができますし、当然給与の水準もその他の経営陣と並ぶ高いものになるでしょう。インハウスローヤーがまだまだ少ない今、インハウスローヤーとしてこれらのポストを狙えるということは先行者メリットといえるのではないでしょうか。

インハウスローヤーになるデメリットは?

インハウスローヤーのデメリットとしては、その企業の案件しか関わることができないことです。たくさんの幅広い案件があれば良いですが、ルーティンワークのようなものしかない会社の場合は「つまらない」と感じる場合もあるかもしれません。

また、法律のことが全くわからない人達と仕事をすることになれば、仕事を丸投げにされるリスクもあるでしょう。どのくらいの仕事量・どのくらいの時間がかかるかなど理解せずに仕事を振られて仕事が終わらないということになる危険性もあります。

他にインハウスローヤーがいないような環境であれば、相談することもできず、万が一間違いがあれば責任を全て自分が被らなくてはいけないという可能性もあるかもしれません。

このようなことにならないように、所属する企業については慎重に選ぶ必要があります。

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インハウスローヤーの報酬

次にインハウスローヤーの報酬について説明します。

平均年収のレンジは750万円〜1,250万円

日本弁護士連合会が発表した『第2回「企業内弁護士の現状キャリアパス調査」に関する調査結果』からインハウスローヤーの報酬を知ることができます。

この結果によると、500万円未満が7.9%(46人),500〜750万円が 32.2%(187人),750〜1,250万円未満が36.1%(210 人),1,250万円以上が23.8%(138人)で、750〜1,250万円未満のレンジが一番多かったです。

参照:日本弁護士連合会|第2回「企業内弁護士の現状キャリアパス調査」に関する調査結果

弁護士事務所では所属する事務所とパートナーになれるかで年収が決まる

一般的にインハウスローヤーと弁護士事務所勤務では、弁護士事務所勤務方が年収は高い傾向にあります。インハウスローヤーでも所属する企業や契約にもよりますが、インハウスローヤーは一社員となり、福利厚生や育休・産休などの制度をしっかり使える権利があるというのも理由になるかもしれません。

弁護士事務所勤務でもパートナーかアシスタントアソシエイトかで年収は大きく変わります。パートナーの補佐的な業務を行う弁護士を「アソシエイト」と呼びますが、アソシエイトからパートナーになるためには相当な努力が必要です。

また、パートナーになれば年収数千万円〜億円という高額報酬になりますが、アソシエイトで小さな弁護士事務所ならば1,000万円を切ることもあります。ただし、四大事務所ならばアソシエイトでも数千万円の報酬を受けられる可能性もあるので、パートナーになれるか・所属する事務所の規模などによって異なるのです。

【2020年最新版】弁護士の平均年収は765万円という現実|正確な年収中央値と年収を上げる方法

働き方に報酬が見合うかを考える必要がある

上記の通り、一般的にはインハウスローヤーよりも弁護士事務所勤務の方が報酬は良くなる傾向にありますが、所属する事務所や役職により異なります。インハウスローヤーは一社員となるので、数千万円を手に入れることができる人はほとんどいませんが、残業も少なくワークライフバランスにきたいできます。報酬かワークライフバランスのどちらが自分にとって重要かを考えてインハウスローヤーへの転職を考えるべきと言えるのではないでしょうか。

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インハウスローヤーへの転職活動で有利になること

インハウスローヤーには企業を運営するときに必要となるさまざまな法律に関する知識が必要になりますが、弁護士という肩書がある以上、法知識があるのは当然と思われてしまいます。その他の知識として、インハウスローヤーに転職する際には高い英語力があると、有利に働く可能性が高いです。

高い英語力

たとえば、海外との取引を始めるにあたり英文契約書を用意することになりますが、いちいち辞書を確認しながら作る人より、英語ができる人の方が早く対応できます。また、海外案件でのトラブルがあった時も、英語でトラブル対策などできれば頼りになると思われるでしょう。

多くの日系企業は、少子高齢化が進む日本から市場を海外にシフトしており、どの企業でも海外案件は増えています。法律に強く英語ができる人材は大変希少価値が高く重宝されます。

傾聴力

面接を突破しやすい方には「傾聴力」があります。自分が知らないことに対して過剰防衛せず、謙虚に情報を得ようとします。無知であることを隠さないんです。
「傾聴力」のある人の周囲には、自然と人が集まるようです。人は話を聞いてほしいですから。企業内でも同じで、こうしたキャラクターの人には自ずと情報が集まります。社内のキーマンは誰なのか、社風は、文化は、新旧の経営方針の違いは……。得意分野の「専門力」と、未知の分野に対する「傾聴力」がある人は、面接を突破しやすいですね。

引用元:企業に採用される人、採用されない人、その資質の差

 

法律事務所所属の弁護士からインハウスローヤーになる方法

それでは、法律事務所所属の弁護士がインハウスローヤーになるにはどうすれば良いのかを紹介します。

インハウスローヤーになった人からの紹介を受ける

インハウスローヤーを雇っている大企業では、人材を増やしているところも多く、インハウスローヤーとして働いている人に「周りに優秀な人材はいないか」という打診をすることがあります。

紹介のメリットとしては、紹介してくれた人の顔に泥を塗ることがないよう、紹介された人は一生懸命働きます。

また、紹介をお願いされた人も自分の評判を落としたくないので、中途半端な人を紹介するということはありません。

そのため、インハウスローヤーになりたいと思っている人は、インハウスローヤーとして既に働いている人にインハウスローヤーを探していないかと確認してみましょう。

条件が合い、仕事を任すことができそうだと判断されれば、募集のタイミングで声をかけてもらえる確率が高くなります。

弁護士に特化した転職サイトを利用する

弁護士に特化した転職サイトも多いので、年収や労働条件・福利厚生などを見ながら自分に合った企業を探すのも良いでしょう。転職エージェントでアドバイザーがつく場合は、エントリーシート・職務経歴書の書き方や面接時の受け答え対策などもしてくれることもあるようです。

特に弁護士からインハウスローヤーへの転職実績が多い転職サイトを選ぶとスムーズにサポートしてもらえるでしょう。

アピールすべきスキル

インハウスローヤーを雇う企業は、当然ですが弁護士としての「法律知識」「状況/リスク判断能力」「法的思考力」などに期待しています。しかし、これらの能力は全ての弁護士が持つものとみなされるため、他者に差をつけるのであれば他のスキルをアピールしなくてはいけません。

たとえば、「マネジメント能力」があるということはインハウスローヤーとして重要です。インハウスローヤーが少ない企業に所属する場合、自らが法務部を仕切らなくてはいけない可能性もあります。受け身な姿勢ではなく、自らが働きかけて会社を良くしていこうという気持ちがあり、遂行できそうな能力がある人は採用側としても魅力的に映るでしょう。

また、TOEICやTOEFLなどの点数があるなら漏らさずアピールするべきです。英文など外国語の契約書の作成やチェック、海外進出時に海外の法律を理解するため、海外取引でトラブルが発生した場合の迅速な対応など、英語力が高いと活躍できるフィールドが広がります。

グローバル化がますます進むことにより、今後どこの企業でも海外進出は増えると予想されるので、英語力がある弁護士というのは非常に評価されやすいのです。

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おわりに

弁護士がインハウスローヤーへ転職する理由としては、「ワークライフバランスが取りやすい」「弁護士としての経験値を上げたい」などがあります。

インハウスローヤーの数は急増しており、その存在は注目されているので、経験を積むことでCLOとして企業の経営サイドに参加できる可能性もあるでしょう。

より良い条件で転職活動を進めるためには、マネジメント能力や英語力などをアピールできると弁護士資格+αの魅力を伝えられるのではないでしょうか。自分の持つスキルをきちんとアピールしてライバルに差をつけることが大切です。

参照元

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