経理職からの転職は、ネガティブな理由のなかに「ポジティブ・意欲」を交えることが大切です。前向きなイメージを意識するほど、これまで獲得したスキルも輝いて見えるもの。面接対策には「転職エージェントの利用」がベストです。独特の緊張感にも慣れつつ、専任コンサルタントから転職成功のためのアドバイスを受けられます。
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目次
経理職の3大転職理由
経理職に共通する転職理由は意外と限られています。
社内の限られた空間で仕事をすることから、挙げられる理由は共通した傾向です。
人間関係の問題
経理職は人間関係、チームワークがとても大切です。なぜなら、1人で黙々と取り組む仕事ではなく、担当全員で取り組む仕事だからです。たとえば、1か月毎に行う「月次決算」が代表例に挙げられます。
残高確認や経過勘定の計算などを経て、試算表を作成します。一連の流れは分業で行うのが一般的のため、人によって足を引っ張る可能性も。人間関係が良ければお互いをカバーできますが、反対だと苦しむのは明らかです。
評価体制への不満
「頑張ってもなかなか給与が上がらない」と、報酬・評価へ不満をもつパターンも多くあります。
経理の仕事は、決められた業務内容を設定された期日までに終わらせる仕事です。営業職と違って裏方のカラーが強く、客観的に人事評価をしづらい職種なのが要因でしょう。
評価が上がる理由も、担当できる業務幅や取得資格の有無が一般的です。会社によっても、1人あたりに充当できる人件費に差があります。同じ経理として務めるのであれば、利益率の高い業界(ソフトウェア・携帯電話業界など)も狙い目です。(利益率参考:業界別 利益率ランキング(2020-2021年)-業界動向サーチ )
スキルアップしたい
決められたルーティンをこなす仕事だけではなく、プラスアルファのスキルを身に付けたいと考える例です。たとえば、自分の担当が毎年変わらないパターンです。規模の大きい会社ほど、複数人で取り組むことが多く「仕事内容が変わらない」と、モチベーションが下がることも。
「経理の経験を活かして別業界を目指す」または「日商簿記1級へ挑戦したい」と、具体性をもって転職活動に挑みましょう。
経理の転職理由で本音を伝えるのはあり?
転職理由をすべて本音で構成するのは、避けるべきといえます。「本音と建前をうまく使い分けて、自分の希望を伝える」を意識するとよいでしょう。
経理の仕事はすぐに習得できるものではありません。大体を慣れるまでに、3年前後は要するものです。日々の業務から、年に一度の年次業務までやるべきことが多くあります。
苦労をして習得した知識やスキルです。本音を交えつつ、できるだけポジティブな内容に置き換えましょう。面接官が受ける印象も伝え方次第で180度違うものになります。
転職理由は本音と建前が存在する
まずは「本音と向き合う」を意識してください。自分をよく見せようと、本音の転職理由を隠してしまってはミスマッチが起きる可能性もあるからです。ですが多くの場合、転職理由は「心に隠された本音」と「表向きの建前」が入り混ざっているもの。
「ミドルの転職」が2019年に実施したアンケートによると、半数以上の人が「伝えた転職理由と本音は異なる」との結果でした。
建前の例 | 隠された本音の例 |
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仕事の領域を広げたい
専門スキルを活かしたい
将来性を明るくしたい | お給料を上げたい 人間関係につまずいた 正当な評価を得たい |
まずは「転職後に叶えたいことは何か?」あるいは「経理としてどのようにキャリアアップしたいか」と、本音の整理からスタートしましょう、
建前も交えつつ本音を伝える
実際の面接の場では、採用につながるように「本音の転職理由を」ポジティブに伝えましょう。面接官は転職理由をもとに「自社とマッチするか」あるいは「自社でどれだけ活躍できそうか」を判断するからです。
経理業務に例えると、次のような理由が当てはまります。
- 「年末決算は業務量が増えるのは当たり前。けれど、他の時期はワークライフバランスを保ちつつ働きたい。」
- 「前職は業務範囲が限られて、単調なルーティンだった。これからは日商簿記2級にも挑戦しつつ、任せてもらえる仕事幅を広げたい。」
加えて、表情や身だしなみにも明るさを意識しましょう。話す内容だけではなく、目や耳から入る情報も印象アップに大きく影響します。面接官に伝わる転職理由も、よい心象に映るでしょう。(参考:メラビアンの法則)
面接で自分の魅力を伝えるためには?|経理の経験に自信をもつ
「1日や1カ月、1年のサイクルで処理する業務内容が異なり、なおかつ量も膨大」と、経理職は簡単ではない仕事です。業務を覚えるために努力したエピソードを、魅力的にアピールしましょう。
キャリアの棚卸しをする
書類選考や面接に臨む前には、自身の経験を整理する必要があります。中途採用では、なるべく早く戦力になってくれる人材を探しているからです。面接では「経理の業務にどこまで携われるのか、また強みは何なのか」を具体的に求められます。
経歴職のキャリアを整理するときは、次の内容を押さえましょう。
- 使用経験のある経理ソフトを記入する
- 「決算業務まで一通り経験」と携わった業務幅を記入する
- 業務で身に付いたスキルから強みを把握する
- 今後挑戦したいことを見定める
「正しい数字を記録するために工夫したこと」または「財務や税法など、習得した専門知識」をヒントに強みを洗い出してください。キャリアの棚卸しが終わった後は、第三者に感想を求めると内容が濃くなります。身近な家族や転職エージェントに頼るのがコツです。
仕事を通じて学ぶことは多くある
業務を通じて得られた人間味の溢れるエピソードを自己PRに盛り込みましょう。自身の個性が伝われば、グッと印象が上がります。たとえば「数字のミスが許されないプレッシャーとの闘い」の例です。人によっては、次のようなエピソードを考えられます。
- 「自分の成長を楽しむ場として考えるようになった」
- 「チーム全員でダブルチェックを徹底した。決算業務を終えたあとは部署の結束が固まっており、嬉しかった。」
上記のように経験に感情を盛り込むほど、人となりが伝わります。
持っている資格をアピールする
経理にまつわる資格を保有しているほど、アピールにつながります。
- 給与計算検定1級を持っており、経理職と並行して携われる
- BATIC(国際会計検定)を活かして、海外メーカーとのやり取りもできる
- 日商簿記検定2級に合格。知識面では自信がある
企業によっては持っている資格に応じて、手当が加算される可能性もあります。また、同じ能力をもった転職者から1人を選ぶ際も、最後の決め手になることも期待できるでしょう。
過去に使ったことのある会計ソフト(弥生会計・会計王など)も、企業にとっての判断材料です。業務にスムーズに入れることをアピールできます。ExcelやワードなどのPCスキルも、日々の実務に大切な要素です。資格と同じ熱量で、惜しみなく伝えましょう。
経理によくある転職理由をうまく伝えるコツ
経理によくある転職理由をピックアップして、自身の状況と照らし合わせてみます。
転職希望者が考える転職理由は、同じようなきっかけであるケースが多いでしょう。だからこそ、他と差をつけるためのポイントを押さえなければなりません。
不平不満だけをいうのはマイナス
面接の場は、前職の不満を吐き出す場ではありません。「転職=会社への何かしらの不満」がきっかけであるのは、誰もが理解している部分です。しかし、ストレートにすべてを述べてしまうと、印象が悪くなってしまいます。どうしても、伝えなければならない場合は「なるべくポジティブに表現する」が大切です。
前職は慢性的な残業が多く、なかなか自分の時間が取れなかった。スキルアップのために資格の勉強時間も確保したく、転職を考えることに。今後はワークライフバランスの両立をして、日商簿記2級に挑戦したいと考えています。
上記はあくまで例文ですが、類似したイメージを意識しましょう。
「退職理由」と「転職理由」は違う
退職する理由はあくまできっかけと捉えましょう。転職活動では「きっかけを元に、今後どのようなキャリアを描いているか」を念頭に考えることが大切です。
採用担当者が確認したいのは「転職理由」だからです。「退職理由」を質問される場面もありますが、どうしてもマイナスな話題に聞こえてしまうもの。面接の場における退職理由はほどほどに終えて、これから先の話につなげる会話スキルも必要です。
そして、転職理由はより具体的に伝えるのもポイント。「補助的な役割だけでなく、決算業務で指揮をとれるように」あるいは「経費削減と利益率向上のアドバイスもできるようになりたい」といった具合です。
内定獲得につながる経理の志望動機の例文とは?
転職のステップである「書類選考と面接」では、志望動機を質問されます。コツは「結論から先に話す(もしくは書く)」です。「なぜ志望しているのか」を先に伝えることで、あとの内容が頭に入りやすくなります。
以下の見出しで2つの志望動機例文を参考にご紹介します。
経験の幅を広げたい
決まった業務だけではなく、経理のオールプレーヤーを目指したいと思ったからです。
前職では、個人ごとに業務が決められていました。おもに請求書発行や経理精算を担当していたのですが、決算業務は補助的な立ち位置でした。経理としてステップアップするためにも、広い範囲を任せてもらえる環境に身を置きたいと考えています。
貴社の募集要項にあった「年間業務までを任せる予定」と合っていると考え、応募致しました。
ワークライフバランスを整えたい
家庭と仕事の両立が理由にあります。2歳になる子どもがおり、保育園への送り迎えが必要です。しかし、慢性的な残業により毎日19〜20時が帰宅時間となり、忙しなさを感じていました。 理由としては、業務の属人化です。
「自分しかできない業務」が多々あり、人数も限られていたためイメージとは違う労働環境になったと感じた次第です。 今回の転職では、ワークライフバランスに取り組む貴社に魅力を感じています。
もちろん、これまでの経験で培った「効率化・正確性」を発揮したいと考えています。
面接の場ではプラスアルファを盛り込みましょう。具体性のあるエピソードを盛り込むと、説得力がアップします。
経理の求人は1~2月に集中する
経理の求人が増えるのは「1〜2月」です。年度末に待ち構えている決算業務に向けて、人員を増やす傾向にあるためです。引き継ぎや業務の把握を考慮すると、さらに前から入社する場合もあるでしょう。
募集の数が多いほど選択肢は増えるもの。選べる企業がたくさんあると、条件にぴったりの企業と出会える確率が高まります。
経験が浅い人を対象とした求人は、6月以降に増える傾向にあります。決算業務が落ち着いた時期は、教育機関を十分に設けられるからです。未経験の場合はこの時期を狙うのも良いでしょう。
経理スキルを活かして未経験職種に挑戦もあり
経理職以外を検討しているパターンもあります。経験を活かせられる職種があれば、参考にしてください。
税理士法人・会計事務所のスタッフ
会計または税制制度に、詳しい知識をもっている人におすすめです。日商簿記2級以上を保有していると、ライバルよりも抜きん出るでしょう。
数字を扱う仕事であるのは変わりませんが、多くのクライアントを相手にします。自社内で完結していた経理職と異なり、他社の数字に責任をもった仕事ができますよ。最初は補助者としてスタートし、同時に難関資格の取得を目指すのもよいでしょう。
IR(Investor Relations)
株主や取引先など外部へ向けて、企業の財政状況を伝える職種です。外部への発信が主になるため、コミュニケーションのスキルが問われます。
会社の数字を扱うことから、企業によっては財務や経理部が担当するケースもあります。財務状況から今後の展望を読み解く力や、社外の人間と関わり方を学べるでしょう。募集の数は多いとはいえませんが、貴重な職種といえます。
コンサルティング
クライアントへの経営支援をメインとする職種です。会計業務の専門家であるため、税務の領域まで幅広い知識を求められます。
業務内容は中小企業の合併を中心に、業務改善や資金調達のノウハウなどです。資産状況を冷静に分析してきた経験を活かせるでしょう。経営の中枢までに関わるため、ハードですがやりがいの大きい職種です。
クライアントに応じて任せられる業務が異なります。また、多くのクライアントと接することのできる魅力もあるでしょう。
経理職におすすめの転職エージェント
転職エージェントを利用すると転職活動が有利になります。自力で得られる情報や求人には限りがあり、面接のコツが掴めない場合もあるでしょう。
転職エージェントでは、1人ずつ担当コンサルタントのサポートを受けられます。最終的な判断は自分で下す必要もありますが、心強い味方といえます。
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