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税理士になるには?具体的な手順を資格勉強方法から取得にかけて解説

税理士の仕事内容は、個人や企業を相手に税金に関する様々な問題をサポートすることです。

会社経営とは利益追求と同義ですが、売り上げを上げた際は必ず税金問題がついて回ります。金額が大きくなれば、税理士の力を必要とするシーンは必然的に多くなるといえます。

税理士資格を持っていると、税理士事務所で働くことはもちろんですが、会計事務所や税務署などで働く際にも有利です

また、将来的に自分のお店や会社を持ちたい人も、持っていて損は無い資格だと言えます。

しかし、税理士になることは簡単ではありません。

後述しますが、令和元年(第69回)の税理士試験結果によれば合格率は18.1%です。

表:令和元年度(第69回)税理士試験結果表(試験地別)(単位:人、%)

区分
受験申込者数 受験者数
(A)
受験率 延受験申込者数 延受験者数 受験率 合格者数 一部科目合格者数 合格者数合計
(B)
合格率
(B/A)
試験地
(実人員) (実人員) (実人員) (実人員) (実人員)
北海道 884 727 82.2 1,378 1,019 73.9 12 105 117 16.1
宮城県 1,298 1,080 83.2 1,996 1,499 75.1 16 148 164 15.2
埼玉県 2,237 1,777 79.4 3,363 2,440 72.6 33 270 303 17.1
東京都 16,486 13,220 80.2 25,322 18,289 72.2 363 2,122 2,485 18.8
石川県 686 565 82.4 1,044 782 74.9 13 76 89 15.8
愛知県 3,135 2,574 82.1 4,676 3,536 75.6 59 421 480 18.6
大阪府 6,739 5,580 82.8 10,078 7,622 75.6 166 893 1,059 19.0
広島県 1,042 867 83.2 1,566 1,184 75.6 26 124 150 17.3
香川県 850 701 82.5 1,308 987 75.5 17 86 103 14.7
福岡県 2,153 1,704 79.1 3,298 2,396 72.7 28 240 268 15.7
熊本県 859 697 81.1 1,337 994 74.3 12 106 118 16.9
沖縄県 332 287 86.4 514 410 79.8 4 48 52 18.1
合計 (7,558) (206) (1,295) (1,501)
36,701 29,779 81.1 55,880 41,158 73.7 749 4,639 5,388 18.1
30年度合計 (7,767) (171) (1,084) (1,255)
38,525 30,850 80.1 58,400 42,063 72.0 672 4,044 4,716 15.3

(注)括弧書は内書で女性数
参考:国税庁|令和元年度(第69回)税理士試験結果

先に他士業の合格率を比較してみると、

司法書士 行政書士 社労士 弁護士
合格率 3%前後 10%前後 約9% 約30%

押し並べて見た場合、最難関という訳ではありませんが、決して簡単ということではありませんので、生半可な覚悟では目指せない職業と言えそうですね。

本記事では、税理士になりたい人の為に、役立つ情報をご紹介します。

目次

税理士になる3つの方法

税理士になる方法はいくつかありますが、大きく分けると下記3つです。

税理士試験に合格し、実務経験を積む

税理士試験には11科目ありますが、そのうち5科目に合格すれば、税理士資格を取得できます。また、何年かけて合格してもかまいません。資格を取得しただけでは税理士になれないので、更に2年の実務経験を積む必要があります。

(2) 実務経験

上記(1)に該当する者のうち、イ又はロの者については、会計に関する事務(貸借対照表勘定及び損益計算書を設けて経理する事務)などに従事した期間が通算して2年以上あることを必要とします。
引用元:国税庁|税理士の登録

「弁護士資格」や「公認会計士資格」を取得

弁護士資格や公認会計士資格を取得した者が、税理士登録をすると、税理士になることができます。

(1) 税理士となる資格

イ 税理士試験に合格した者

ロ 税理士法の規定により、試験科目の全部について税理士試験を免除された者

ハ 弁護士(弁護士となる資格を有する者を含む。)

ニ 公認会計士(公認会計士となる資格を有する者を含む。)

(注) 平成29年4月1日以後に公認会計士試験に合格した者については、公認会計士法第16条第1項に規定する実務補習団体等が実施する研修のうち、財務省令で定める税法に関する研修を修了した公認会計士となります。

引用元:国税庁|税理士の登録

税務署などで国税専門官として勤務

税務署などで国税専門官として長年勤務すると、税理士試験の科目がいくつか免除、もしくは全て免除されます。10年勤務すると税法科目が免除されるので、会計科目のみの受験でOKです。

23年勤務すると、税法科目・会計科目ともに全て免除されるので、受験をしなくても税理士になることができます

国税専門官とは

国税局や税務署において、税のスペシャリストとして法律・経済・会計等の専門知識を駆使し、国税調査官、国税徴収官、国税査察官といった職種に分かれて活躍しています。

国税専門官には、豊かな教養と高度の専門知識はもちろんのこと、時代の変化に即応する強い精神力とバイタリティーが求められています。

引用元:国税庁

このように税理士になるための方法は3つに分かれますが、これから税理士を目指す人が②や③の道を通ってから、税理士になろうと思うことはほぼ無いと言えるでしょう。

そのため、①の方法を目指すのが、現実的だと言えます。

税理士の「難関度」と「必要勉強時間」について

税理士を目指す人にとって、難関度を知ることは、必要勉強時間についても考えることにつながります。

税理士試験の難関度

税理士は難関資格の1つで、片手間でさっと取れるような資格ではありません。しかし、誰でも取れるような資格ではないからこそ、価値があるとも言えます。

税理士資格を取得するためには、全11科目のうち、5科目に合格する必要があります

科目にもよりますが、合格率は18%程度です。(国税庁|令和元年度(第69回)税理士試験結果)

マイナビ税理士』によると、令和元年の各科目の合格率は、下記の通りです。

簿記論:17.4%

税理士資格を取得する際の「必須科目」です。税の計算は税理士の中心的業務なので、簿記の知識は必須です。企業の経済活動を帳簿に記録し、経営状況をチェックします。

財務諸表論:18.9%

帳簿に記録した内容を「財務諸表」として作成する方法と、それに関する理論について学びます。

所得税法:12.8%

給与所得や雑所得や不動産所得など、各種所得の1年間に得た合計額に対して、課されるのが所得税です。これらの所得税についての法律を学びます。

法人税法:11.7%

企業などが1年間に得た所得に対して、課されるのが法人税です。この法人税についての法律を学びます。

相続税法:11.7%

相続や贈与を行う際に、財産を取得した者が課されるのが「相続税」です。この相続税についての法律を学びます。税理士として相続に関する相談を受けることもあり、実務でも非常に役立つことが期待できます。

消費税法:11.9%

言わずと知れた、物やサービスの販売・提供に対して課される税金です。これらについての法律を学びます。実務でも大いに役立つことが期待できます。

酒税法:12.4%

アルコール分が1%以上の飲料に対して、課される税金が酒税です。これらについての法律を学びます。

国税徴収法:12.7%

税金が未納だった場合に、強制的に徴収するための手続きについて学びます。

住民税(地方税法):19.0%

各都道府県や、各市区町村の提供するサービスに対して、所属する住民に負担してもらうのが住民税です。これらについての法律を学びます。

事業税(法人税法):14.8%

法人・個人の事業活動に対して、課される税金です。実際に納税者が金額を計算して納付することもあるため、実務でも大いに役立つことが期待できます。

固定資産税:13.7%

土地や家などの資産に対して課される税金です。これらについての法律を学びます。

令和元年は合格率が高めだといわれていますが、そうは言っても全て10%代なので、難関度は高いと言えます。このことから、勉強には効率的に挑む必要があります。

税理士になるための「必要勉強時間」について

マイナビ税理士によると、税理士試験に合格するのに「必要な勉強時間」の平均は、下記の通りです。

  • 簿記論 450時間
  • 財務諸表論 450時間
  • 所得税法 600時間
  • 法人税法 600時間
  • 相続税法 450時間
  • 消費税法 300時間
  • 酒税法 150時間
  • 国税徴収法 150時間
  • 住民税 200時間
  • 事業税 200時間
  • 固定資産税 250時間

簿記論と財務諸表論は「必須受験科目」ですが、他の科目は全ての中から3つ合格すれば良いので、自分の得意なものを選んで勉強すればよいわけです。(ただし、選び方にもルールはあります。)

そうは言っても、必須の「簿記論450時間」と「財務諸表論450時間」だけでも、トータル900時間はかかります。この2つを、毎日休まず1日3時間勉強した場合でも、単純計算で10ヶ月はかかります。

更に3科目分の勉強も必要になるので、もっと多くの時間がかかることも考えられます。しかし、これはあくまで目安であり、効率のより勉強法をしていれば10ヶ月もかける必要はありません

税理士になるためには多くの勉強時間を必要とするのは事実ですが、独学で進めることはせず、資格予備校などで効率的な勉強方法を学ぶことが、合格への近道だと言えます。

独学と資格予備校へ通うのはどちらが良いか?

先ほど、予備校やスクールに通うのが効率的だとお伝えしましたが、もちろんう予備校を利用せず、独学で税理士試験に臨む、合格することも十分可能です。ただ、独学でカバーできるのは『簿記論』や『財務諸表論』といった基礎的な部分に限られると思っています。

酒税法、国税徴収法、法人税法などは、いっけんすると勉強量が少なくて済みそうな分野ですが、問題の論点や構造が似通っている箇所が多く、初めて目にする用語の多さ、理解するまでには効率的な対策をするのは、少々難しいかと思います。

独学の勉強法だと、書籍を読み、インターネットで検索し、自分の知識としてアウトプットして初めて身になります。(税理士試験に合格することがゴールではなく、実務で役立照られなければいみがありませんので)

税理士試験合格への近道|効率的な勉強と環境を整えるために

税理士試験の合格への近道は、効率的な勉強方法を知り、更にそこから自分にあった勉強方法を選ぶことだと言えます。

もちろん、完全独学で勉強をして合格できる人も、ゼロではないでしょう。しかし人生の時間には限りがありますし、「税理士になること」が優先目標なので、そこに沿った最短ルートを進んでいくのが望ましいと言えます。

税理士試験に合格することはあくまで途中経過であり、税理士として活躍することがゴールなハズです。

その為に、学校に通うことは必須だと言えます。現在働いていたり、大学などに通っている人もいるでしょう。そういった人たちが通いやすいのは、何と言っても「資格の学校」です。資格の学校に行くメリットは下記の通りです。

モチベーションをどう持続させるか

独学で勉強をしていると「後で勉強すればよいか」と誘惑に負けることがあります。また、追い込まれて辛くなり「資格を取るのをやめようかな」と弱気になることもあります。

このように、モチベーションの維持がしづらくなります。その点資格の学校にいくと、第三者の目があったり、仲間ができることもあるので、モチベーションが続きやすくなります。

勉強環境が整っていること

効率よく勉強を行う為には、環境も大切です。独学で勉強をする場合、自分で環境作りを行う必要があるので、そこに気をつかう時間も必要です。勉強に向く環境作りのポイントは、下記などです。

勉強専用の場所を作る

独学で勉強をする場合、勉強専用の場所を確保する必要があります。例えば食事をするテーブルでそのまま勉強をすると、すぐに勉強モードに切り替えることが難しく、家族がいる場合には、途中で中断せざるを得ないこともあります。

 余計な音から離れる

雑音は、集中力を欠いてしまいます。勉強する環境として望ましいのは、静かなことであり、音がしても耳障りではない音楽が流れる程度だと言えます。 

掃除がされている

散らかっていたりホコリがあるような環境では、勉強に集中することができません。独学で勉強をする場合、自宅で行うことが多いので、散らかっていることもあるでしょう。

その場合には、勉強の前に、掃除から行う必要があるので時間をロスしてしまいます。

資格取得のための学校は、最初から上記のような勉強環境が整っているので、勉強することに力を注ぐことが可能です。

必要なカリキュラムが組めている

独学で勉強をする場合、自分で勉強のスケジュールを考え、実行していく必要があります。

税理士になるためには、多くの勉強時間を必要とするので、いかに効率よく勉強を進めることがポイントになります。

自分で勉強のスケジュールを考えても、それが自分に合うものかは分かりませんし、ポイントを網羅できているかも分かりません。

資格取得のための学校は、税理士試験についての対策を常に練っているので、あなたにあったプランを教えてくれるはずです。

このように必要なカリキュラムは既に組まれているので、勉強に集中することが可能です。その為、資格の学校に通うことをオススメします。

通信講座や模擬受験などがある

資格の学校には、様々な状況の人が通います。仕事をしていたり、学校に通っていたり、なかには子育て中の主婦などもいるでしょう。

このような人たちは、学校に決まった時間に通うのが難しいことも多いですが、通信講座を利用すると好きな時間に勉強ができます。これは、新型コロナウイルスなどで外出の機会を少なくしたい人にとっても、うれしいサービスだと言えます。

また、長年の試験結果などを分析し、それをもとに作った模擬試験を受けることもできます。本番前に模擬試験を受けることにより、更にやる気を高め、最終調整を行うことが可能です。 

税理士になるにあたっての将来性は?

税理士資格は受験者数4万人を超える人気資格ですが、将来性について気になるところ。昨今の「働き方改革」からはじまり、更に新型コロナウイルスの流行で、人々の仕事に対する意識が変わり、下記のような意見を持つ人が増えてきました。

  • 企業に依存しない自律的なキャリアが必要
  • 自分の強みについて、どこでも活躍できるものを可視化する必要がある
  • 企業の将来性が気になる

税理士という仕事に対しても「将来性がある仕事なのか?」と、気になる人は多いでしょう。

税理士は今後も必要とされる職業

税理士資格は一生ものです。資格を取ればずっと税理士として働けるので、いざという時にはフリーランスとして活動することも可能ですし、自分で事務所を立ち上げることも可能です。

またお客様は、個人・法人の両方を対象とすることができるので、どこでも活躍できると言えるでしょう。

更に税理士資格に関して、税の計算や書類作成などをコンピューターが行えるので「将来的にAIに仕事を奪われてしまうのではないか?」という声があがることもあります。

単純な計算などは、確かにAIが行うことが可能です。しかし、税理士の仕事には経験をもとに判断することや、コンサル業など、人の頭で考えないと行えない部分が多くあります

コミュニケーション能力を問われる場面も多々あります。その為、今後も税理士は必要とされる仕事であり、将来性はあると言えます。

税理士になるのに学歴は関係ない

税理士になるには「大学を出ていないと、そもそも無理だろうな」と思う人もいるでしょう。結論からいうと、税理士になるのに、学歴は関係ありません。学歴を理由に挑戦しないのは、非常にもったいないことです。

高卒でも「日商簿記1級資格」を保持していたり、税理士事務所などで3年以上働いていりすると、受験資格を獲得できます。つまり、税理士になるには「学歴」ではなく「やる気」が重要であり、いかに効率よく勉強を進めていけるかもポイントになります。

仕事面においても学歴はさほど重要ではない

税理士そして仕事をする上で必要な能力について、「コミュニケーション力」「スピーディな会計作業」「税務知識」の3つがあれば良いとする税理士事務所は多いようです。

ただ、これが学歴の高さと比例関係にあるかというと、決してそんなことはなく、専門知識への理解の速さや、効率的な作業を自ら行えるかは個人の意識によることろが大きく、勉強ができるから仕事ができるとは限りません。

テストで点を取るのも、記憶力に関してもある意味訓練です。高学歴の人は、勉強に対するストレスが無く、記憶をするのが得意な方が多いとされていますが、税理士の実務で必要となる専門知識が、税理士試験に出る知識とは合致しないケースもあります。

それは税理士資格に限りません。結局は努力し続けられる、成長を止めない人が、真に優秀な人材です。

まとめ

今回は税理士になりたい人に向けて、役立つ情報を紹介いたしました。成功のポイントは、効率的に勉強をすることです。その為には、資格の学校を利用することをオススメします。

「やはりお金がかかるから独学で勉強する」という人もいるでしょう。しかし長い目で見れば、資格取得に成功して税理士として活躍すれば、授業料のもとは取れると言えます。

人生の時間は限られています。貴重な時間内で、スムーズな合格を目指すためにも、資格の学校に行くことをオススメします。

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