現役司法書士が教えるリアルな仕事内容8つと司法書士ができることと今後の見通し

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司法書士_仕事内容

司法書士という資格は、一度は聞いたことがあるかもしれません。

しかし、様々な国家資格、例えば、弁護士や行政書士など似たような名前の資格が多数あります。司法書士の仕事内容を説明できる人はあまりいません。

そこで、今回は司法書士の仕事内容と、今後の展望について述べていきたいと思います

司法書士の資格を取るべきか迷っている方や、司法書士に相談すべきか迷っている方の道標になれば幸いです。

 

 

司法書士の主な仕事8つ

法律上、司法書士が業として行える分野は8つあるとされています。司法書士に登録していない人物が、これらの業務を他人から依頼を受け、報酬を得ると司法書士法違反となります。

では、司法書士の具体的な仕事の内容について見ていきましょう。

登記簿作成又は供託手続の代理

登記とは、一言でいえば、不動産や会社の住民票といったところでしょうか。

私たちが持ち物に名前を書き誰の物であるか、わかりやすいようにしなければならないのと同じように、土地や建物を買ったときや、不動産を担保にローンなどを借りたときは、そのことを反映させなければなりません。このことがわかる書類のことを、不動産登記簿といいます。

また、会社を作ったときなども、会社名や住所、誰が代表者であるかも明確に分かるようにしておかなければなりません。会社の概要がわかる書類のことを、商業登記簿といいます。商業登記簿については、会社の公式サイトに「会社概要」として記載されてあるホームページをよく見かけますが、それをイメージして頂けたらと思います。

登記作成業務は司法書士のメイン業務

この登記簿に反映させることは、とても重要なことですが、一定のルールや法律を守らなければならず、インターネットで気軽に情報ややり方を入手できるようになったとはいえ、誰にでもできる訳ではありません。

司法書士は、この登記簿に関する書類の作成を業務として行うことができます。登記に関する業務は、司法書士業務のメインでもあります。

供託手続の代理とは

また供託とは、金銭の支払いに関して金額などで争いがある場合に、国(正確には法務局)に、自分が正しいと思える金額を預けることによって、支払ったことと同じ効果を発生させる手続きのことをいいます。

たとえば、供託の代表例として家賃に関する供託手続きがあります。あなたが家を借りている立場にあり、オーナーから家賃の値上げを迫られたとします。家賃の値上げに不満なあなたとしては、理由もなく家賃の値上げに応じる訳にはいきません

かといって、家賃を支払わないと契約を解除される恐れがあります。このようなときに、あなたが正しいと思った金額の家賃を法務局に供託することにより、オーナーに支払ったと同じ効果を生むことができます。

この供託手続きも、書類の提出先が法務局ですが、先ほどの登記手続きと同様、高度な法律知識を必要とされており、司法書士の専門分野とされています。

法務局に提出する書類の作成

上記1に関連して、法務局に登記申請や供託手続きを行う際に必要とされる書類を作成することができるのも、司法書士の業務です。

例えば、不動産登記の場合、

  1. 登記申請書の提出
  2. 登記申請の際、法務局に提出する書類に関する書類(不動産売買契約書など)

を行うことができます。

法務局長に対する登記、供託の審査請求手続の代理

登記申請や供託手続きを行い、無事認められればいいのですが、非常に難しい事案など、登記申請や供託手続きが通らない場合もあります。このような際に、こちらの申請・手続きが認められるよう再度お願いをする(文句を言う)手続きを審査請求といいます。

司法書士は、1や2のように、申請に関する業務だけではなく、申請を行ったがダメだった場合の手続きについても、代理人として行うことができます。

裁判所・検察庁にへの提出書類作成、法務局に対する筆界特定手続書類の作成

上記1~3はいずれも法務局に提出する書類関連の業務でした。

ただ、司法書士はそれ以外にも裁判所や検察庁に提出する書類(※)を作成することもできます。具体的には、裁判を起こすときに裁判所に提出する訴状や証拠書類の作成、裁判が継続されたときに自分の意見を書面化した書類(準備書面といいます)などがあります。

また、離婚や相続関連の手続きの際に使用される家庭裁判所に提出する書類も作成することができます

その他、近年では、借金を返せなくなってしまった場合に行う法的手続き、自己破産手続きや個人再生手続きを行うこともできます。

検察庁に提出する書類は、例えば、刑事事件の被害者が被害を訴え、刑事事件として処理してもらうようにお願いする手続きの際に提出する告訴状や告発状のことをいいます。

筆界特定手続きとは

隣との土地との境界線がわからなくなってしまった場合に、どこか境界かを法務局に判断してもらえる手続きのことをいいます。司法書士は、筆界特定手続きに関する書類も作成することができます。

2番目の検察庁や3番目の筆界特定手続きに関する書類を得意としている司法書士は、あまり見かけません。ところが、最初の裁判所関連の書類に関しては、得意としている司法書士が急増しています。登記や供託関連の業務を行わず、裁判所に関する業務だけを行っている司法書士もいるようです。

ここで注意しなければならないのは、あくまで行うことができるのは「書類の作成」のみです。弁護士のように、「代理人」として本人の代わりに裁判所に行き、裁判を行うことはできません。

※よく勘違いしがちなのが行政書士との関連

建設業や運輸業などの許認可申請の手続きの際、関連省庁(国土交通省など)や都道府県、市区町村に提出する業務を行うことができるのは、司法書士ではなく行政書士です。

  1. 法務局や検察庁関連は司法書士、
  2. その他関連省庁や都道府県
  3. 市区町村は行政書士

です。

1~4に関する相談

司法書士は、登記や供託など法務局関連の業務に関しては、本人の代わりに代理人として業務を行うことができます

しかし、それだけでなく、書類の作成や手続きまでは行わないものの、これら諸手続きに関する相談を受け、アドヴァイスをすることにより、「相談料」として報酬を得ることができます。

いくら知識があったとしても、無資格者が司法書士関連の業務の相談にのり、費用をもらったり、繰り返し相談にのることは司法書士法違反となるので注意が必要です。

訴訟、民事調停、仲裁事件、裁判外和解等の代理及びこれらに関する相談

法務大臣の認定を受けた司法書士については、簡易裁判所における訴額140万円以下の訴訟ができます

上記4で、裁判所や検察庁に提出する書類については、作成をすることができるのみで、本人の代わりに代理人として手続きを行うことはできないと説明しました。しかし、例外があります

それは司法書士に登録後、所定の研修を受け、試験に合格した司法書士は、金額が140万円以下の事件で簡易裁判所で扱う事件に関しては、書類の作成だけでなく、弁護士のように相談にのったり、本人の代わりに代理人として裁判所に出廷することができます

この制度のことを、「簡易裁判所代理権」とか「認定司法書士」ともよぶことがあり、この資格を有する司法書士のホームページには、プロフィール欄や事務所名などの箇所に明記されてあることが多いです。

合格率が80% 前後と高い合格率であるため、司法書士登録者数の75% が認定司法書士として登録をしているようです。


2019年日本司法書士会連合会調べ
日本司法書士会連合会 | 会員数他データ集

6についても、裁判所が簡易裁判所に属する事件に限定されてあることに注意が必要です。たとえ金額が140万以下であったとしても、控訴されたり、複雑な内容であったりなどして地方裁判所で争う事件や、遺産分割協議や離婚など家庭裁判所に属する事件については、認定司法書士であっても代理人となることができません

対象土地の価格が5600万円以下の筆界特定手続の代理及びこれに関する相談

6と同様、隣地との境界線を巡る争いについても例外措置があります。

本来ならば、土地の境界線を巡る争いについては、土地の測量を必要とするということもあり、土地家屋調査士の専門分野とされております。しかし、司法書士法第3条第1項第4号、5号、8号には例外措置として、認定司法書士であり、かつ、土地の価格が5600万以下の境界線を巡る争いについては、書類を作成するだけでなく、代理人として業務を行うことができます。

7については、

  • 都市部ではそもそも需要が少ない
  • 地方では会社の数自体が少なく、商業登記関連より、不動産登記を得意分野としたほうが需要が高い

ことなどから、都市部の司法書士より、地方の司法書士が専門分野としている傾向にあります。

家庭裁判所から選任される成年後見人、不在者財産管理人、破産管財人などの業務

認知症などで判断能力が低下し、自分自身の財産を管理できなくなった場合に、本人の代わりに財産を管理する人のことを成年後見人といいます。未成年者の子供の財産を、親が管理しているのに似たようなイメージです。

また、行方不明になっている場合などに、その人の代わりに財産を管理する役割の人を不在者財産管理人といいます。

その他、借金を返せなくなった人が裁判所に、借金の免除をお願いする手続きのことを自己破産手続きといいます。この破産手続きの中でも、財産があったりするなど、調査が必要な場合に、裁判所に代わって破産手続きの業務・管理を行う役割の人のことを破産管財人といいます。

いずれも裁判上の手続きを経て、任命されます。これらの業務については、もともと弁護士の専門業務ということもあり、地方によってばらつきはあります。全国どの裁判所でも任命される可能性があるのは、今のところ、成年後見人くらいです。

 

今後、司法書士としての仕事の広がりは?

司法書士の取り扱い業務についてお分かり頂けたでしょうか。では次に、これらの業務の今後の見通しについて見ていきましょう。

登記関連の今後~予想:上昇傾向ではないが現状維持傾向

やはり司法書士の代表格といってもいい登記関連の業務について外すことはできません。確かに、本屋では素人向けに書かれた登記関連の本も多数出版されていますし、法務局でも司法書士に依頼せず、自分自身で登記申請を行っている現場にもよく遭遇します。

さらに、AIの発展・普及に伴い、ますます自分たちで登記を行う人は増加すると思います。

では、司法書士の業務から登記関連が無くなるかといえば、少なくとも私はそうは思いません。不動産に関しては、土地がなくなるといったことはありませんし、マンションも次々と新しいマンションが建設されています。

都市部以外についても同様です。今後、交通網や通信設備が発展すれば、地方に移住しても、今まで通り仕事を継続することが可能になることが予想され、地方でも不動産登記の需要は高まることが予想されます。

商業登記についても同様です。世の中から会社が無くなるということはなく、登記関連の司法書士の需要はまだまだあるといってよさそうです。

認定司法書士の今後~予想:現状維持あるいはやや緩やかな上昇傾向

では、認定司法書士についてはどうでしょうか。私は、この分野については、「現状維持あるいはやや緩やかな上昇傾向」と予想しています。

確かに、現状制度で書類作成だけではなく、代理権限が認められるのは「訴額が140万円以下、かつ、簡易裁判所」の事件という制限付きです。

しかし、日常生活、少なくとも私人間でのトラブルで、140万円以上の金額を巡る争いなどそうそうあるものではありません。加えて、日本司法書士連合会が中心となって、認定司法書士の適用範囲を広げるように活動しており、今後の見通しは明るくなると思われます。

成年後見人の今後~予想:上昇傾向

8個ある司法書士の業務について、最も着目すべき分野は成年後見人など家庭裁判所から選任される業務についてです。

主に、認知症になられた方などの財産管理を、本人に代わって行うことを業務としますが、日本は高齢化が進んでおり、また、生涯独身で周りに財産管理を行う人物がいない状況が増加していることは、ご存じのことと思います。そういった背景から、今後ますますこの業務の需要は高まることが予想されます。

また、この業務については、裁判所とのやり取りが不可欠であり、今までは弁護士が中心となって行ってきました。しかし、

  • 他の法律事件に比べ報酬が低いということもあり、なかなか弁護士が積極的に行わないこと
  • 司法書士以外にも行政書士や社会福祉士なども今後の業務の一つにするべく取り組んでいるが、高度な法律判断をしなければならないこともあり、司法書士が1歩リードしている

といった傾向も、明るい見通しの判断材料の一つです。

 

司法書士が案件を獲得する3つの方法

最後に、司法書士が今後生き残り、案件を獲得する3つの方法について見ていきましょう。

様々な媒体を駆使した営業活動

やはり営業活動はかかせません。特に、登記関連の業務については営業活動は必須でしょう。営業活動といっても、ホームページを作成する・チラシを作るなどやり方は人それぞれです。不動産会社や会社経営者との異業種交流会に参加する方もいます。

ちなみに、筆者の知り合いの司法書士は「司法書士の仕事のメインは、不動産会社との交流(=飲み)だと」豪語していました。

法律相談

認定司法書士の業務をメインに考えている場合は、どのようにして顧客活動をしたらよいのでしょうか。もちろん、営業活動で自身の存在を知ってもらう方法もあります。しかし、いくら自身の存在を知ってもらったとしても、直ちに法律相談が発生するとは限りません。

法律相談を受注する場合は、営業活動より、市区町村や司法書士会、法テラスなどが行っている法律相談に積極的に参加することが顧客獲得の近道といえそうです。

これらの法律相談は「無料」であることや、開催場所が市役所や商業施設など比較的行きやすい場所で開催されていることが多いため、「何かあったらまずは無料法律相談に行ってみる」と考えている方が多いようです。

司法書士会の活動への積極的な参加

2と類似していますが、自身が所属している司法書士会の講習やイベントに積極的に参加するのも、顧客獲得の一つです。司法書士は自由業ですし、例えば、車の免許の更新のように研修への参加が必須なことはあまりありません。

しかし、司法書士会の行事に積極的に参加することにより、自身の存在を覚えてもらうことが、顧客獲得につながることはよくある話です。特に都市部より地方については、後輩の育成を目的として、司法書士同士のつながりが多い傾向にあります。

また、「家庭裁判所から選任される業務」については、他の業務に比べ、新規開拓中ということもあり、いろいろと司法書士同士が情報交換を行いながら試行錯誤を繰り返しています。一匹狼であるより、こういった交流も顧客獲得のためには必要といえるでしょう。

企業との顧問契約

司法書士と顧問契約してくれる企業なんているのか、司法書士は何を提供しているのか?という疑問は多いと思いますが、主に下記のシーンで需要があります。

  • 株主総会の招集に関する書面作成
  • 株主総会議事録
  • 取締役会議事録等のチェック
  • 手続のスケジューリング
  • 売掛金回収 など

当然ながら、弁護士、税理士、社会保険労務士の独占業務以外の業務になります。弁護士ではありませんが、『法務担当』という扱いで「コンプライアンスを意識た登記手続きや法務部門アウトソーシングとして、弁護士を顧問にするよりも安い価格で提供できます。

意外とニーズが多いのは140万円以下の売掛金を回収です。

弁護士に相談するとこの価格帯では費用倒れする案件ですが、認定司法書士であれば140万円までなら訴訟の代理人となれます。内容証明の作成、裁判外交渉(ADR)、なお回収できない場合でも訴訟対応が可能なのです。

高額な売掛金でない分弁護士を頼れない場合、司法書士を頼っていただけるケースは多いです。

 

まとめ

司法書士は、登記又は供託手続など法務局への申請や書類の作成・相談を行うことができます。また、登記や供託申請が却下された場合の法務局に対する審査請求手続の代理も可能です。

それ以外にも、裁判所または検察庁に提出する書類の作成、法務局に対する筆界特定手続書類の作成も行うことができます。

法務大臣の認定を受けた司法書士については、

  1. 簡易裁判所における訴額140万円以下の訴訟
  2. 対象土地の価格が5600万円以下の筆界特定手続、などの代理

を行うことができます。家庭裁判所から選任される成年後見人、不在者財産管理人、破産管財人などの業務としての受注が可能です。

中でも裁判手続き関連業務は、司法書士が行える新規分野として非常に注目されています。登記関連を行うことは言うまでもなく、新規分野にどれだけ力を注げるかについても、司法書士として生き残っていくために必要なことかもしれません。

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