- 「人事として転職したいけど、なかなか選考が通らない」
- 「そもそも人事の求人って少なくない?」
そんな悩みを抱えている方は少なくありません。実際、人事は管理部門の中でも特に人気が高い職種でありながら、求人数が限られているため、転職のハードルが高いと感じる方が多いのが現実です。
ただし、2026年の転職市場では人的資本経営の広がりやHRBP需要の拡大を背景に、人事人材への期待値はかつてないほど高まっています。つまり「難しい」と感じる理由を正しく理解し、適切な対策を講じれば、キャリアアップを実現できるチャンスは十分にあるのです。
この記事では、人事の転職が難しいとされる理由を構造的に解説したうえで、経験者・未経験者それぞれに向けた具体的な突破戦略、さらに2026年最新の市場動向やおすすめの転職エージェントまでを網羅的にお伝えします。
この記事の要約
- 人事の転職が難しい主な理由は「求人数の少なさ」「社内異動優先の文化」「成果の数値化しにくさ」の3点
- 2026年は人的資本経営・HRBP需要の拡大で人事経験者の市場価値が上昇中
- 経験者は「企業規模の親和性」と「実績の言語化」、未経験者は「採用担当ポジション」が狙い目
目次
人事の転職が「難しい」と言われる5つの理由
人事への転職が難しいと言われるのには、明確な構造的理由があります。漠然と「難しい」と感じるのではなく、ハードルの正体を一つずつ把握しておくことが、転職成功への第一歩です。
求人数が少なく、競争率が高い
人事の転職が難しい最大の理由は、そもそも外部に出る求人が限られていることです。人事部門は企業の中でも少数精鋭で運営されることが多く、一つのポジションに応募が殺到しやすい構造になっています。
dodaの2026年2月発行データによると、転職求人倍率は全体で2.40倍ですが、「事務・アシスタント」カテゴリに含まれる人事系ポジションの倍率はこれを大きく下回るとされています。
[参照元]【転職求人倍率】2026年2月 の転職求人倍率は2.40倍|doda
ITエンジニアや営業職と比べると「1人の席を複数人が争う」状況が生まれやすく、書類選考の段階で落とされるケースも珍しくありません。
社内異動で補充されるケースが多い
人事は、社員の評価データや報酬情報、経営方針に深く関わる機密性の高い職種です。そのため、多くの企業では外部から採用するよりも、自社の文化や事情を理解している社内人材を異動させてポジションを埋める傾向があります。
特に大手企業では「人事は自社で育てる」という方針を持つところが多く、結果として外部から応募できるポスト自体がそもそも少ないという構造が生まれています。
企業文化へのフィットが重視される
人事は制度設計から採用基準の策定、従業員との面談まで、企業の価値観を直接体現する立場にあります。そのため、スキルや経験だけでなく「自社のカルチャーに合うかどうか」が選考の大きな判断軸になりやすいのが特徴です。
前職でどれほど高い成果を出していても、応募先企業の風土と合わなければ不採用になることは十分にあり得ます。これは営業や経理など他の職種と比較しても、人事ならではのハードルと言えるでしょう。
実績を数値でアピールしにくい
営業職であれば「年間売上〇億円」、経理であれば「決算期間を〇日短縮」といった具体的な数値で成果を示しやすい一方、人事の業務は定量化が難しいものが多くあります。
- 「社員のエンゲージメント向上に貢献した」
- 「研修制度を改善した」
といった定性的な成果は、書類選考や面接で伝わりにくく、他の候補者との差別化が図りにくいのが現実です。この「成果の見えにくさ」が、人事経験者であっても転職で苦戦する大きな要因になっています。
求められるスキル領域が幅広い
人事の業務範囲は非常に広く、採用・労務・評価制度・研修企画・組織開発など多岐にわたります。企業によって求めるスキルセットが異なるため、自分の経験領域と応募先の求めるスキルにギャップが生じやすいのです。
たとえば「採用一筋でやってきた」という方が、制度設計や労務管理まで求められるポジションに応募しても、経験の幅が不足しているとみなされることがあります。
逆に、幅広く経験していても「どれも浅い」と評価されてしまうこともあり、このバランスの難しさが転職を複雑にしています。
【2026年最新】人事の転職市場動向|追い風と向かい風
人事の転職が難しいことは事実ですが、市場環境は常に変化しています。2026年の最新トレンドを押さえておくことで、自分に有利なタイミングや方向性を見極められるようになります。
人的資本経営の浸透で人事人材の需要が拡大
2023年3月期決算から上場企業に対して人的資本情報の開示が義務化されたことを皮切りに、人的資本経営への関心は急速に高まりました。この流れは2026年も加速しており、人事部門が「コストセンター」から「経営の中核」へと位置づけを変えつつあります。
dodaの「人事の転職市場動向2026上半期」レポートでは、2026年上半期の人事求人数は増加が見込まれるとされており、特に「採用」と「労務」ポジションの需要が高いことが指摘されています。 [参照元]人事の転職市場動向2026上半期|doda
HRBPや制度企画の経験者は希少価値が高い
人的資本経営を推進するうえで、経営戦略と人事戦略を橋渡しできるHRBP(HRビジネスパートナー)の需要が急増しています。日本人材ニュースの報道によれば、企業規模を問わずHRBPを積極的に募集する動きが広がっています。 [参照元]【人事職の中途採用】事業成長に必要な能力を持つHRBPの募集が企業規模を問わず増加|日本人材ニュース
一方で、「人事白書2023」によるとHRBPを設置している企業はわずか14.0%にとどまっており、この分野の経験がある人材は極めて希少です。 [参照元]人的資本経営を実現する「戦略人事」のポイント|日本の人事部
制度企画やタレントマネジメントの経験を持つ人材も同様に不足しており、こうした専門性を持つ人事経験者にとっては、まさに売り手市場の状況が生まれています。
タレントマネジメント・ピープルアナリティクスの需要拡大
従業員の属性データや行動データを分析して人事施策に活かす「ピープルアナリティクス」や、個人のスキル・能力を可視化して最適配置を行う「タレントマネジメント」を導入する企業が増えています。
これに伴い、データ分析スキルやHRテクノロジーに精通した人事人材への需要も高まっています。従来の「勘と経験」に頼る人事から、データドリブンな人事への転換期にあることは、転職市場にとっても大きな変化と言えるでしょう。
グローバル人事の需要も引き続き高水準
海外拠点の拡大やクロスボーダーM&Aの増加に伴い、グローバル人事の経験者への需要は引き続き高水準です。英語力に加えて、現地の労働法制や商慣習を理解したうえで人事施策を展開できる人材は、年収面でも高い評価を得やすい状況にあります。
人事の年収相場——年代別・ポジション別の実態
転職を検討するうえで、年収水準の把握は欠かせません。人事は管理部門の中でも平均的な年収帯に位置しますが、ポジションや企業規模によって大きな差が生じます。
年代別の年収水準
MS-Japanの独自調査「人事求人の想定年収調査 2025」によると、人事職の想定年収は以下のような水準となっています。
- 20代非管理職:平均514万円(大規模上場企業では575万円)
- 30代管理職:大手上場企業で750万円超
- 50代以上:管理職層で721万円前後
[参照元]人事求人の想定年収調査 2025|MS-Japan
上場企業と未上場企業の間には、若手の段階で100万円以上の年収差が生じているのが特徴的です。
ポジション別の年収傾向
人事の中でも、担当する業務領域によって年収水準には明確な差があります。
一般的に、採用スタッフや労務担当は400万〜600万円が相場とされるのに対し、制度設計や人事企画を担うポジションでは600万〜800万円と高めに設定されるケースが多いです。 [参照元]人事の平均年収とは?年収を上げる方法や求められるスキルを紹介|BEET-AGENT
さらに、CHRO(最高人事責任者)やHRBPといった戦略人事ポジションでは、800万〜1,200万円以上の求人も珍しくありません。「人事=年収が上がりにくい」というイメージは、あくまでオペレーション領域に限った話であり、キャリアの方向性によっては大幅な年収アップも十分に現実的です。
【人事経験者向け】転職を成功させる6つの戦略
人事としての実務経験がある方が転職を成功させるためには、「経験があるから大丈夫」という油断を捨て、戦略的に臨む必要があります。ここでは、人事経験者が押さえるべき6つの具体策を解説します。
実績を「数値」で語れるよう整理する
人事の業務は数値化しにくいと述べましたが、それでも可能な限り定量的な成果を準備しておくことが重要です。
たとえば、以下のような指標を棚卸ししてみましょう。
- 年間の採用人数と充足率
- 応募者数の前年比増減
- 離職率の改善幅
- 研修実施後のアンケートスコアの変化
- 制度導入による残業時間の削減率
- 人事評価制度改定後の従業員満足度変化
「定性的な貢献をどう定量的に翻訳するか」が人事転職成功の鍵であり、ここに時間を投資することをおすすめします。
企業規模の親和性を意識する
人事の仕事は、企業規模によって求められるスキルセットが大きく異なります。大企業では分業制で各領域の専門性が求められる一方、中小企業やベンチャーでは幅広い業務を一人でこなす「1人人事」的な対応力が求められます。
転職先の企業規模が現職と大きくかけ離れている場合、「即戦力として機能できるか」という懸念を持たれやすくなります。企業規模をある程度合わせるか、規模のギャップを埋められる経験やスキルをアピールすることが重要です。
応募先企業の人事課題を事前にリサーチする
選考において他の候補者と差をつけるには、応募先企業の人事面における課題を具体的に理解し、「自分がどう貢献できるか」を明確に提示することが効果的です。
たとえば、急成長中のスタートアップであれば採用体制の構築が急務かもしれませんし、大企業であれば制度改革や組織開発の推進が求められているかもしれません。企業のIR資料や採用ページ、ニュースリリースなどから情報を集め、面接でのやり取りに反映させましょう。
専門領域をもう一段深掘りする
前述のとおり、HRBPや制度企画、タレントマネジメント領域の人材は市場で高く評価されています。これまでの経験を土台にしながら、戦略人事やデータ活用といった「もう一段上」の専門性を身につけることで、転職時の競争力は大きく向上します。
具体的には、以下のようなスキル・知識を意識的に磨くとよいでしょう。
- 人事データの分析スキル(ピープルアナリティクス)
- エンゲージメントサーベイの設計・運用
- 人的資本情報の開示対応
- 人事制度設計(等級・評価・報酬)の実務経験
- 組織開発(OD)のフレームワーク理解
「転職理由」と「志望動機」の一貫性を磨く
人事経験者が面接で問われる「なぜ転職するのか」は、特に厳しく見られるポイントです。なぜなら、面接官自身が人事のプロであるケースが多く、回答の矛盾や表面的な動機を見抜かれやすいためです。
転職理由と志望動機には「論理的な一貫性」を持たせ、「なぜ今の会社ではダメで、なぜこの会社なのか」を明確に説明できるよう準備しましょう。
管理部門特化の転職エージェントを活用する
人事の転職では、総合型の大手エージェントだけでなく、管理部門・バックオフィスに特化したエージェントを併用することを強くおすすめします。
特化型エージェントは人事特有の転職事情に精通しており、企業の内部情報や非公開求人へのアクセスという点で大きなアドバンテージがあります。後述するおすすめエージェントも参考にしてみてください。
【未経験者向け】人事への転職を実現する4つのステップ
未経験から人事職を目指す場合、経験者以上に戦略的なアプローチが必要です。ただし、決して不可能な挑戦ではありません。ポイントを押さえれば、未経験からでも人事キャリアの第一歩を踏み出すことは十分に現実的です。
「採用担当」ポジションが最も現実的な入り口
未経験者が人事に転職する場合、最も狙いやすいのが採用担当のポジションです。採用業務は応募者対応やスカウト、面接調整など対人スキルが重視される仕事であり、営業やカスタマーサクセスなど、コミュニケーション力を武器にしてきた方は経験を活かしやすい領域です。
また、採用ポジションは人事の中でも求人数が比較的多く、成長中のIT企業やベンチャー企業では未経験者歓迎の求人も一定数存在します。
前職の経験を「人事目線」で再定義する
未経験だからといって、アピールできることがないわけではありません。大切なのは、これまでの業務経験を人事の文脈で「翻訳」することです。
たとえば以下のように言い換えることができます。
- 営業経験 → 「採用面接での候補者アトラクト力」「ステークホルダーとの調整力」
- カスタマーサポート経験 → 「従業員対応力」「クレーム・トラブル時の冷静な判断力」
- 企画・マーケティング経験 → 「採用マーケティング」「雇用ブランディングの素養」
- 事務・管理業務 → 「労務管理業務との親和性」「正確性と継続性」
前職のスキルを人事業務と接続させることで、「なぜこの人が人事で活躍できるのか」を説得的に伝えることが可能になります。
資格取得で本気度と基礎知識を示す
未経験者の場合、資格を持っていることが「人事への本気度」と「基礎知識の裏付け」として機能します。特に以下の資格は、転職の際にプラスに評価されやすいものです。
- 社会保険労務士:労務管理・社会保険の専門資格。人事の中でも労務系ポジションで高く評価される
- キャリアコンサルタント:国家資格。採用や社員のキャリア支援に直結する知識を証明できる
- 衛生管理者:労働安全衛生法に基づく国家資格。労務管理やメンタルヘルス対応に役立つ
- メンタルヘルス・マネジメント検定:職場のメンタルヘルス対策に関する知識を証明できる
資格だけで採用が決まるわけではありませんが、「未経験だけど本気で学んでいる」という姿勢は、面接官に対して強いメッセージになります。
成長企業・IT業界を中心に応募先を広げる
未経験者が人事のポジションを獲得しやすいのは、急速に組織が拡大している成長企業やIT・Web業界です。
これらの企業は採用ニーズが旺盛であり、社内に人事の経験者が不足しているケースも多いため、ポテンシャル採用に積極的な傾向があります。dodaの市場レポートでも、ITやWebなどの成長業界では未経験歓迎の人事求人が微増傾向にあると指摘されています。
業界を限定せず、自分の経験を活かせる成長企業を積極的に探していくことが、未経験転職の突破口になります。
人事の転職で評価されるスキルと経験
転職活動において、企業がどのようなスキルや経験を重視しているのかを知っておくことは非常に重要です。ここでは、人事職の転職で特に評価されやすいポイントを整理します。
コミュニケーション能力と調整力
人事はあらゆる部署・階層の人と関わる職種です。経営陣への提案、現場マネージャーとの連携、従業員との面談、外部の社労士やベンダーとの折衝——このすべてにおいて高いコミュニケーション能力が求められます。
特に重要なのは「対人感受性」と「伝える力」のバランスです。相手の立場や状況を理解しながら、時には厳しい決定事項も適切に伝達できる力は、どの企業でも高く評価されます。
労務知識・コンプライアンス対応力
働き方改革関連法の施行や、男性育休推進、同一労働同一賃金への対応など、労務領域のアップデートは近年特に激しくなっています。法改正への対応力や、コンプライアンスリスクを未然に防ぐ感度の高さは、実務経験の有無を問わず評価されるスキルです。
データ分析・HRテクノロジー活用力
前述のとおり、人事領域のデータ活用は急速に進んでいます。タレントマネジメントシステムやエンゲージメントツールの運用経験、あるいはExcelやBIツールを活用した人事データの分析経験は、2026年の転職市場で大きな武器になります。
機密情報の管理能力
人事は報酬データ、評価情報、個人情報など、企業で最もセンシティブな情報を扱う部門の一つです。情報セキュリティへの意識の高さや、適切な情報管理体制を構築・運用できる能力は、人事に欠かせない資質として重視されます。
経営視点・ビジネス理解
特にマネージャーやHRBPクラスのポジションでは、単なる「管理業務の遂行者」ではなく、「経営の一翼を担うパートナー」としての視座が求められます。事業の収益構造やビジネスモデルを理解したうえで、人材戦略を提案できる人材は、年収面でも高い評価を受けやすいです。
年代別・人事転職のポイントと注意点
年代によって、転職活動で重視すべきポイントや注意点は異なります。自分の年代に合った戦略で臨むことが、効率的な転職成功につながります。
20代:ポテンシャルを武器にまず飛び込む
20代は実務経験の深さよりも、「成長意欲」と「柔軟性」が重視される時期です。未経験からでも採用担当やアシスタントポジションで人事キャリアをスタートしやすく、年齢を重ねるほど「未経験からの転職」は難しくなるため、興味があるなら早めの行動がおすすめです。
20代非管理職の人事の想定年収は平均514万円程度ですが、大規模上場企業では575万円と、若手のうちから一定の水準は見込めます。
30代:専門性の深さが問われるターニングポイント
30代は、人事としての専門領域が明確であることが求められるフェーズです。「採用のプロ」「労務のスペシャリスト」「制度設計の経験者」など、自分の強みとなる領域を明確にし、それを軸に転職先を選定していくことが重要になります。
また、30代後半からはマネジメント経験の有無が年収を大きく左右します。MS-Japanの調査では、30代管理職は大手上場企業で750万円を超える水準が示されており、非管理職との年収差は200万円前後に及ぶケースもあります。
40代以上:マネジメント実績と戦略人事の視点
40代以上の転職では、「いち担当者」ではなく「人事組織をリードできるマネージャー・部長クラス」としての評価が中心になります。チームマネジメントの実績や、経営陣との折衝経験、人事戦略の立案・推進実績が問われます。
一方で、40代・50代の採用事例自体は増加傾向にあり、特に経験豊富な人事管理職への需要は底堅く存在しています。焦らず、自分のキャリアの「強み」が最も活きるポジションを見極めることが大切です。
人事の転職で失敗しないためのチェックリスト
転職活動を進めるうえで、以下のポイントを事前にチェックしておくことで、ミスマッチや失敗のリスクを大幅に減らすことができます。
転職理由を前向きに整理できているか
「今の会社が嫌だから」というネガティブな理由だけでは、面接での印象は良くありません。「こういう経験を積みたい」「この分野で専門性を高めたい」という前向きなストーリーに転換できているか確認しましょう。
希望条件に優先順位をつけているか
年収・勤務地・企業規模・業務内容——すべての条件を100%満たす求人を見つけるのは困難です。譲れない条件と妥協できる条件を明確にしておくことで、転職活動がスムーズに進みます。
職務経歴書は「人事の言葉」で書かれているか
人事のプロが読む書類だからこそ、職務経歴書の完成度は厳しくチェックされます。曖昧な表現は避け、具体的なプロジェクト名・関与した人数・達成した数値を盛り込み、読みやすく構成されているか見直しましょう。
複数の転職エージェントを活用しているか
1社のエージェントだけに依存すると、求人の選択肢が限られます。総合型と特化型を組み合わせ、少なくとも2〜3社に登録しておくことが推奨されます。
人事の転職におすすめの転職エージェント
人事の転職を成功させるうえで、自分に合った転職エージェントを選ぶことは極めて重要です。ここでは、管理部門・人事職に強みを持つエージェントを5社ご紹介します。特化型と総合型を組み合わせて、少なくとも2〜3社に登録しておくのがおすすめです。
MS Agent(MS-Japan)
管理部門と士業の転職支援に特化したエージェントで、この分野では国内最大級の規模を誇ります。1990年の設立以来30年以上にわたって管理部門の転職を支援してきた老舗で、東証プライムにも上場しています。
保有求人の約90%が非公開求人で、上場企業の70%以上にあたる約2,600社からの採用依頼実績があるのが大きな強みです。人事・総務カテゴリの求人数はエージェントの中でもトップクラスで、大手上場企業からIPO準備中のベンチャーまで幅広くカバーしています。
メインの利用者層は30〜40代の管理部門経験者で、登録者の80%以上が実務経験3年以上の即戦力人材です。「30・40代人事・総務人材向け個別相談会」を常時開催しているほか、人事求人の年収レポートなどの独自データも定期的に公開しており、情報収集の場としても頼りになります。
人事の転職を考えるなら、まず登録しておきたいエージェントの一つです。
公式サイト:https://www.jmsc.co.jp
| 項目 | 内容 |
|---|
| 運営会社 | 株式会社MS-Japan(東証プライム上場) |
|---|
| 設立 | 1990年 |
|---|
| タイプ | 管理部門・士業 特化型エージェント |
|---|
| 総求人数 | 約19,000件(非公開含む) |
|---|
| 対象年代 | 30〜40代が中心 |
|---|
| 対象年収 | 500万〜1,000万円以上 |
|---|
| 拠点 | 東京・名古屋・大阪 |
|---|
BEET-AGENT
「バックオフィスが正当に評価される企業への転職」をコンセプトに掲げる、管理部門特化型のエージェントです。
東証グロース上場の株式会社アシロが2022年に立ち上げたサービスで、弁護士特化エージェント「NO-LIMIT」で培った専門職マッチングのノウハウを管理部門に展開しています。
最大の特徴は「両面型」のエージェントモデルを採用している点です。1人の担当者が企業側と求職者側の両方を担当するので、求人票だけではわからない企業のリアルな内部事情——たとえば部署の雰囲気や上司のマネジメントスタイル、人事部門が抱える課題感など——まで踏まえたマッチングが可能です。
書類通過率が大幅に改善した事例も報告されています。
公開求人数は約1,400件とまだ規模は大きくありませんが、Yahoo! JAPANやPayPay、マネーフォワード、野村証券といったプライム上場企業の非公開求人も保有しており、求人の質には定評があります。比較的新しいサービスなので口コミはまだ少ないものの、手厚い個別対応を求める方には相性の良いエージェントです。
公式サイト:https://beet-agent.com
| 項目 | 内容 |
|---|
| 運営会社 | 株式会社アシロ(東証グロース上場) |
|---|
| 設立 | 2016年(サービス開始は2022年) |
|---|
| タイプ | 管理部門 特化型エージェント(両面型) |
|---|
| 総求人数 | 約5,000件以上(非公開含む) |
|---|
| 対象年代 | 20代後半〜40代 |
|---|
| 対象年収 | 600万〜2,000万円 |
|---|
| 拠点 | 東京(首都圏・大阪中心) |
|---|
JACリクルートメント
ハイクラス・ミドルクラスの転職に強みを持つ、東証プライム上場のエージェントです。もともと1975年にロンドンで創業したグローバル企業で、現在は世界11カ国に34拠点を展開しています。オリコン顧客満足度調査「ハイクラス・ミドルクラス転職」部門で2019年から8年連続1位を獲得しており、利用者からの信頼度は折り紙付きです。
常時約45,000件の求人を保有し、そのうち全求人の約50%が年収1,000万円超という構成が特徴的です。管理部門の専任コンサルタントが全国で150名以上在籍しており、人事領域ではCHRO・人事部長・HRBP・タレントマネジメント・グローバル人事といった戦略人事系のポジションに特に強みがあります。
転職決定者の約70%超が35歳以上、利用者の約48%が40代以上というデータが示すとおり、「経験を積んだミドル層が、次のキャリアステージに上がるためのパートナー」としての位置づけが明確です。外資系企業やグローバルポジションの求人も豊富なので、英語力を武器にキャリアアップを目指す方にもフィットします。
年収600万円以上の人事マネージャー・HRBPクラスを目指すなら、ぜひ押さえておきたいエージェントです。
公式サイト:https://www.jac-recruitment.jp
| 項目 | 内容 |
|---|
| 運営会社 | 株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント(東証プライム上場) |
|---|
| 設立 | 1988年(グループ創業1975年・英国) |
|---|
| タイプ | ハイクラス・ミドルクラス特化型エージェント(両面型) |
|---|
| 総求人数 | 約45,000件(約75%が非公開) |
|---|
| 対象年代 | 30〜50代 |
|---|
| 対象年収 | 600万〜1,800万円以上 |
|---|
| 拠点 | 国内13拠点、海外11カ国34拠点 |
|---|
リクルートエージェント
転職支援実績No.1を誇る日本最大の総合型転職エージェントです。厚生労働省「人材サービス総合サイト」において2023年度・2024年度ともに実績トップを記録しており、その規模感は他のエージェントを圧倒しています。
公開求人約75万件、非公開求人約22万件という他社を大きく引き離す求人母数が最大の武器です。人事カテゴリだけでも公開求人が1,000件以上常時掲載されており、大手企業からベンチャー、メーカーからIT企業まで、あらゆる業界の人事ポジションをカバーしています。リクルートの調査では、人事関連の求人数は2018年度比で2022年度に2.40倍に増えたというデータもあり、求人の選択肢は年々拡大しています。
対象年代は20代から50代以上まで幅広く、年収のボリュームゾーンは400万〜600万円台。とにかく多くの選択肢の中から比較検討したい方に向いています。
ただし企業担当と求職者担当が分かれる「片面型」のため、管理部門の内部事情に関する専門的なアドバイスという面では特化型エージェントに譲る部分もあります。特化型エージェントと組み合わせて、母数を確保する目的で活用するのが効果的です。
公式サイト:https://www.r-agent.com
| 項目 | 内容 |
|---|
| 運営会社 | 株式会社リクルート(東証プライム上場) |
|---|
| 事業開始 | 1977年(人材斡旋事業) |
|---|
| タイプ | 総合型エージェント最大手(片面型) |
|---|
| 総求人数 | 約97万件(公開+非公開) |
|---|
| 対象年代 | 全年代 |
|---|
| 対象年収 | 300万〜800万円以上 |
|---|
| 拠点 | 全国主要都市 |
|---|
doda(デューダ)
パーソルキャリアが運営する総合型の転職サービスで、転職サイト・エージェント・スカウトの3つの機能を1つのアカウントで使えるのが最大の特徴です。累計会員登録者数は約1,032万人を超えており、日本最大級の転職プラットフォームとして知られています。
「自分で求人を検索する」「エージェントに紹介してもらう」「企業からスカウトを待つ」という3つのアプローチを同時に進められるため、転職活動のスタイルに合わせて柔軟に使い分けることができます。総求人数は約25万件で、人事を含む「企画・管理系」の求人カテゴリに強みがあります。
dodaの2026年上半期予測レポートでは、人的資本経営の推進や2040年問題を見据えた長期的な人材獲得ニーズを背景に、採用・労務・人事企画のすべてのポジションで求人増加が見込まれるとしています。
登録者の約67%が35歳未満で、オリコン顧客満足度調査「転職エージェント20代部門」で4年連続1位を獲得しているとおり、若手層のサポートに定評があります。20代で人事への初転職を考えている方にとっては、心強いパートナーになるでしょう。ハイクラス帯(年収800万円以上)を狙う場合は、別サービスの「doda X」も選択肢に入ります。
公式サイト:https://doda.jp/
| 項目 | 内容 |
|---|
| 運営会社 | パーソルキャリア株式会社(東証プライム上場グループ) |
|---|
| 設立 | 1989年 |
|---|
| タイプ | 総合型(サイト+エージェント+スカウト一体型) |
|---|
| 総求人数 | 約250,000件 |
|---|
| 対象年代 | 20〜30代が中心(全年代対応) |
|---|
| 対象年収 | 300万〜600万円中心 |
|---|
| 拠点 | 全国主要都市 |
|---|
よくある質問(FAQ)
Q. 人事の転職は本当に難しいのですか?
難しい面があるのは事実です。求人数が少なく、社内異動で補充されることが多いため、そもそも外部に出る求人が限られています。ただし、2026年は人的資本経営やHRBP需要の高まりにより、人事経験者を求める企業は増えています。「難しい理由」を正しく理解して対策すれば、十分に転職成功は可能です。
Q. 未経験から人事に転職できますか?
可能です。特に採用担当のポジションは、営業や接客などコミュニケーション力を活かせる職種からの転職事例が多くあります。成長中のIT企業やベンチャーでは未経験歓迎の求人も出ているため、業界を広く見て応募先を検討しましょう。
Q. 人事の転職で年収は上がりますか?
経験やスキル、転職先の企業規模によりますが、年収アップを実現している方は多くいます。特に、制度設計やHRBPなどの戦略人事領域へのキャリアチェンジや、より大きな企業規模への転職は年収アップにつながりやすい傾向があります。
Q. 人事の転職に有利な資格はありますか?
社会保険労務士、キャリアコンサルタント、衛生管理者などが代表的です。特に社会保険労務士は労務管理の専門性を証明できるため、人事としての市場価値を高めるうえで効果的です。ただし、資格よりも実務経験が重視される傾向が強いため、資格はあくまで補完的な位置づけと考えるのが適切です。
Q. 人事の転職にはどのくらいの期間がかかりますか?
一般的には3〜6ヶ月程度が目安です。人事は求人が出てから充足するまでのスピードが速いため、「良い求人が出たらすぐ応募できる」状態を整えておくことが重要です。転職エージェントに事前に登録し、職務経歴書を準備しておくことで、チャンスを逃さずに動けます。
まとめ——「難しい」の先にあるキャリアを掴むために
人事の転職が「難しい」と言われる背景には、求人の少なさ・社内異動優先の文化・成果の数値化しにくさといった構造的な要因があります。しかし、2026年の転職市場は、人的資本経営の浸透やHRBP需要の拡大により、人事人材にとって追い風の状況が生まれています。
この環境を味方につけるためには、以下の3つのアクションを今すぐ始めることが効果的です。
- 自分の実績を定量化して棚卸しする——数値で語れる成果を整理し、職務経歴書に反映させる
- 管理部門特化の転職エージェントに登録する——非公開求人や企業の内部情報にアクセスできる環境を整える
- 市場価値を高めるスキルに投資する——HRBPや制度企画、データ分析など、需要の高い領域の知識を身につける
「人事の転職は難しい」——この言葉は、裏を返せば「正しく準備した人が勝てる市場」であることを意味しています。この記事で紹介した戦略やデータを活かして、あなたの理想のキャリアに一歩近づいてください。