高齢化が進む日本では相続や不動産の登記、成年後見人に関する業務など、司法書士の需要は益々増えると予想されています。資格を取得すれば司法書士事務所や企業の法務部への就職が可能となり、独立開業すれば定年に関係なく働くこともできます。
ただし、司法書士試験は合格率が約4%の超難関試験です。独学での合格は非常に難しいため、各予備校が提供する講座の利用は必要不可欠といっていいでしょう。
司法書士講座とひとくちに言っても、大手や老舗の予備校から新興系のオンライン予備校が提供しているものまで種類や数が多数あり、どれを選べばよいのか分からないものです。そこでこの記事では司法書士講座を選ぶポイントを解説したうえで、おすすめの予備校7校について特徴を紹介します。
目次
司法書士試験対策・合格におすすめの予備校6社を比較
アガルート|圧倒的な合格実績を持つオンライン予備校
アガルートアカデミーは2015年1月に開校したオンラインの資格予備校です。司法書士以外に司法試験・予備試験、中小企診断士や弁理士試験など難関資格のオンライン予備校として確実に知名度と実績を伸ばしています。
司法試験で圧倒的な合格実績を誇る
アガルートでは司法書士試験の合格率は公開されていませんので、合格実績を数字で確認することはできません。ただし司法試験で見ると、2020年の司法試験合格者は650名、合格者占有率が44.8%と、難関資格での実績が高い予備校である裏付けとなっています
低価格と返金制度でコスパ最強
入門総合講義が14万800円、入門総合カリキュラムが17万3,800円です。また低価格の割に講義時間は大手予備校並みに長めの設定となっているため、講義1時間あたりの価格で考慮すればコスパが非常に高い講座といえます。
さらにアガルートの大きな特徴として、合格特典が他社を圧倒しています。合格した場合には試験日までに申し込みをした講座費用が全額返金制度と、合格お祝い金として3万円が贈呈されます。
インタビュー出演など条件付きではありますが、頑張って合格すれば司法書士になるための費用を大きく削減できるのは魅力でしょう。
合理化を図った講座&テキスト
アガルートの講座とテキストは徹底的な合理化が図られている点が特徴です。合格に必要な情報だけを伝えることに注力しており、効率よく合格を目指せる構成になっています。
また司法書士試験に精通した講師が作成したオリジナルテキストはフルカラーで視覚的に情報を整理しやすく、アイコンやマークも使用するなど見やすいレイアウトになっています。
サポート体制は標準的
アガルートはFacebookグループによる質問対応や講師による毎月1回無料カウンセリングを実施といった学習のサポート体制があります。
ただしオンラインの学習サポート体制については、音声ダウンロードや7段階の倍速機能といったもので、オンライン型の予備校にしてはごく標準的です。Webテキストやオンラインの問題演習がないためスマホだけで学習をしようとする人には物足りなく感じるかもしれません。
公式サイト:https://www.agaroot.jp/shoshi/
スタディング|業界最低水準の低価格とスキマ時間学習に強み
スタディングは多数の難関資格合格者を輩出しているオンライン型の資格予備校です。もともとのブランド名は通勤講座でしたが、2018年にスタディングへ変更し、さらに知名度を上げています。
難関資格の短期合格者が多数
スタディングでは司法書士試験の合格実績は公表されていません。ただし司法試験・予備試験や中小企業診断士試験などの難関資格で短期合格実績があり、HPには合格者の声も多く寄せられています。
業界最低水準の低価格
2022年度試験対応の司法書士総合コースは9万9,000円と業界最低水準の低価格です。司法書士講座は高額になりがちなので費用面で諦める人も多いですが、スタディングであれば大手や老舗の約4分の1の価格で受講できます。
ただし、総講座時間は短めに設定されています。短期間での合格を目指す構成なので講義が短いから悪いというものではないですが、網羅性に欠けるのが不安という方は同じオンライン予備校でもアガルートのほうがよいでしょう。
初学者でも効率的に実力がつく講座と教材
スタディングでは、短期合格者の学習方法を徹底的に研究し、心理学や脳科学などの知見と組み合わせた「スタディングメソッド」を磨き上げてきました。スタディングメソッドによって構築された講座と教材は短期間で効率的に実力がつくと定評があり、短い講義時間数ながら合格を目指せる土台が整っています。
スマホで学習が完結する充実のサポート
スタディングはオンライン版テキストやオンライン問題集、要点暗記ツールなど、とにかく学習サポート機能が充実しています。すべての学習がスマホで完結するため忙しくてまとまった学習時間を確保できない社会人には特におすすめです。
公式サイト:https://studying.jp/shoshi/
伊藤塾|47万円の高価格だが合格実績は他社を圧倒
伊藤塾は法律資格・公務員試験の受験指導で抜群の知名度・実績を誇る有名校です。司法試験・予備試験の予備校として有名ですが、司法書士試験でも優れた実績を残しています。本気で合格したい方は、まずは検討するべき予備校だといえるでしょう。
2020年試験の合格者占有率は59%!
2020年司法書士試験の最終合格者のうち、59%が伊藤塾の有料講座の受講生です。法律系資格最難関の司法試験で高い実績があるだけに難関試験の合格ノウハウが充実しているため、同じく難関資格である司法書士でも圧倒的な実績を誇っています。実績がよく分からないと不安に感じるという方は実績の高い伊藤塾がおすすめです。
価格は高め
2022年合格目標の本科生コースは47万6,000円、教育訓練給付金の対象である本科生B(WEBクラス)は47万1,000円です。教室(通学)でライブ講義の受講を希望する場合は教室(通学)オプション4万円の申し込みが必要となります。
司法書士講座の費用は10万円~50万円が相場です。最近はオンライン予備校など20万円未満の低価格の講座が多数出ているため、47万円台という価格は司法書士講座の中では高いほうに分類されます。
ただしその分、講義や教材の質は高く、合格実績も他社を圧倒しています。講義や教材の質と価格とのバランスは悪くないといえるでしょう。
なお、早期申込割引や司法試験・予備試験受験生限定の特別割引など、各種割引もあります。期限があるので割引を利用して伊藤塾を利用したい方ははやめにチェックしてください。
一流講師陣による質の高い講義が魅力
伊藤塾の司法書士講師陣は、教材制作や個別指導などの受験指導歴が最低5年以上の講師だけが集まっています。もちろん全員が司法書士試験の合格者で簡裁訴訟代理等能力認定考査まで取得しており、法律への造詣が深く、講義が分かりやすいと評判です。
特にエース講師である山村講師は、最年少合格者や総合成績1合格者を輩出するなど高い実績があり受験生から圧倒的な支持を得ています。
講師陣の力と、合格のために必要な量と質にこだわったカリキュラムが相まって最短合格へと導いてくれます。
質問制度やカウンセリングで不安を解消
伊藤塾は学習のサポート体制が手厚いのが特徴です。学習をきちんと継続できるように、カウンセリングや質問制度等のサポート制度が非常に充実しています。通学であれば一流講師と直接やり取りができるのもメリットです。
公式サイト:https://www.itojuku.co.jp/shiken/shihoshoshi/kouza/21C00001.html
LEC東京リーガルマインド
LEC(東京リーガルマインド)は1984年から37年間司法書士受験を指導してきた老舗の予備校です。
一発合格者は10年で131名を輩出
司法書士試験は合格率が約4%と非常に難易度が高い試験なので、合格するまでの受験回数は4回前後が平均とされています。一発合格は至難の業といえるでしょう。そんな中でLECは2011~2020年の10年間で131名もの一発合格者を輩出しています。
初学者でも分かりやすい指導が受けられる証でもあるでしょう。毎年上位合格者も輩出しており、実績は十分です。
価格は高め
LECは初学者向け、学習経験者向け、通信・DVD・通学などさまざまなコースがありますが、たとえば2022年合格目標:新15ヵ月合格コース(春生)の通信Webは47万9,700円、通学(Webフォロー付)は55万8,900円です。
40万円台後半~50万円台が中心で司法書士講座の価格としては高めといえるでしょう。大手予備校ならではの安心感はありますが、費用面で気になる方はいるかもしれません。
基礎からしっかり学べるブレークスルーテキスト
LECのブレークスルーテキストは、法律を基礎から学ぶ人でも分かりやすいと評判のテキストです。重要条文はすべて記載されており、制度趣旨にも触れているため条文の理解が深まります。
全ページにメモを取るための余白が設けられているところも受講生から好評で、講義で得た重要なポイントや問題演習で間違えやすいポイントなどを記載できます。
インターネットフォローで徹底サポート
インターネットフォローでは講義に関する質問や相談、スケジュール管理など充実した受験サポートが受けられます。スケジュール帳代わりに使える「やることリスト」や、同じ講座を受講している受験生同士で質問や相談ができる「教えてメイト」など、さまざまな機能があります。
また一問一答形式の問題が5問、メールで配信されるため試験へのモチベーションを切らさずにすきま時間を有効活用しながら学習を継続できます。
公式サイト:https://online.lec-jp.com/disp/CSfDispListPage_003.jsp?dispNo=012001001003
Wセミナー(資格の学校TAC)
法律・難関資格の受験指導を行うWセミナー(早稲田セミナー)も司法書士講座で支持を得ている予備校のひとつです。2009年に事業譲受により資格の学校TAC(TAC株式会社)が事業を引き継いでいます。
2020年度試験で記述式1位合格者を輩出
Wセミナーは司法試験で多くの合格者を輩出しており、HPでも合格者の声や合格体験記が多数掲載されています。2020年度司法書士試験では記述式1位、総合2位の合格者を輩出しており、上位合格できるだけの講義や教材であることを示しています。
価格は高め
2022年目標本科生1年本科生(総合本科生プラス:Web)は50万7,000円、給付金制度の対象となる2022年目標本科生1年本科生(Web)は44万1,000円です。45~50万円ほどと、司法書士講座の中では高い部類に入ります。
カリスマ講師の講義で自然に合格を目指せる
Wセミナーでは受講生の92%が講師に満足しているというアンケート結果があり、講師陣の質の高さを表しています。特に卓越した合格理論「山本オートマチック」を提唱する山本講師は、自身もわずか6ヶ月で試験に合格した経験をもつカリスマ講師です。講義が面白く自然に合格を目指せると評判です。
音声DLフォローで復習強化
教室講義の音声ファイルと議事録をダウンロードする機能があるため、通学・通勤中などのスキマ時間を活用して復習を強化できます。
また教室収録した講義はWeb動画でスマホやパソコンなどを使っていつでも受講できるため、忙しくて講義を欠席してしまっても安心です。
公式サイト:https://www.w-seminar.co.jp/shisho.html
クレアール
超効率的な独自の学習法「非常識合格法」を提唱するクレアールは、Web通信で最高の時短学習を目指す資格予備校です。
公式サイト:https://www.crear-ac.co.jp/shoshi/
資格受験指導歴52年の老舗予備校
クレアールは司法書士講座の合格実績を公開していませんが、資格受験指導歴はなんと52年という老舗の予備校です。これだけの長い受験指導歴は、受講生たちにずっと支持されてきた証だといえるでしょう。
価格は比較的お手頃
初学者が最短で試験を合格が目指せる2022年合格目標 合格ルート1年スタンダード春コース(Web通信)は35万5,000円です。アガルートやスタディングのような破格の講座にはおよびませんが、司法書士講座の中では比較的お手頃価格だといえます。
また目標年度までに合格すると合格体験記の執筆などを条件に合格お祝い金10万円が進呈されます。合格お祝い金制度はほかの予備校にもありますが、この額の合格お祝い金がもらえるのはクレアールならではのメリットです。モチベーションを高く保ちながら目標年度での合格を目指せるでしょう。
公式サイト:https://www.crear-ac.co.jp/shoshi/
Webテストと復習講義で知識が確実に定着する
クレアールはスマホでも受けられるWebテストが非常に充実しています。穴埋めテストと1000問ノックテストのほかに、重要な論点について正誤理由をスピーチ訓練できる音声データもあります。
さらに各単元5~10分の復習講義がついているので重要なポイントだけを効率よく復習ができ、確実に知識が定着します。
合格サポート体制は通信講座トップクラス
クレアールの合格サポート体制は非常に整っており、通信講座の中でトップクラスです。メールや質問用紙での質問を受け付けており、回数は無制限です。
また受講期間内に提出した答案はすべて採点して返却されるため本試験までに不明点を残すことなく自信を持って受験できます。
公式サイト:https://www.crear-ac.co.jp/shoshi/
司法書士試験合格に強い講座の選び方・比較ポイント
まずは司法書士講座を選ぶ際に比較するべきポイントを解説します。
合格実績
過去にどれだけ合格者を輩出してきたのか、一発合格者や上位合格者はいるのなどは、講座や指導法のレベルを知るためのひとつの材料となります。合格実績が高ければ指導法が間違っていない証なので受講生としても安心して学習に取り組めるでしょう。
講座の価格
講座の価格も重要なポイントです。特に司法書士講座は難易度が高く学習範囲も膨大なので講座費用は高額になりやすいという特徴があります。
また合格率の低さから一発合格は非常に難しく、誰でも再受講となる可能性もあるでしょう。再受講となれば改めて費用がかかるため、継続的に学習できる価格かどうかも考慮する必要があります。
返金や割引制度を確認
予備校によっては合格時の返金制度や割引制度を設けている場合があります。定価よりかなり安く受講できるケースも多いので制度があれば利用を検討しましょう。
早割などもあるため、できるだけはやめに情報収集しておくことをおすすめします。
教育訓練給付制度が利用できるかどうかを確認
教育訓練給付制度とは、一定の要件を満たす雇用保険の被保険者または被保険者であった人が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講して修了した場合に、受講費用の一部が給付される国の制度です。
費用負担を軽減できるためぜひ利用したいところですが、司法試験対策講座の中でも対象講座と対象外の講座があります。事前に予備校に問い合わせて確認しておくとよいでしょう。
参考:ハローワーク|教育訓練給付制度
講義・教材の質
単純に価格だけで比較するのではなく、講義や教材の質を踏まえて選ぶことも大切です。講義やテキストは分かりやすいか、合格に必要な情報が網羅されているか、知識を吸収しやすい構造になっているかなどを確認しましょう。
司法書士試験の学習は基本的に長丁場になるため、モチベーションを保って学習を続けられ、合格につながる講義・教材であることが必要です。
学習のサポート体制
質問制度やカウンセリング、学習進捗状況の管理といったサポート体制も学習を進めるうえでは重要です。
特に通信・Web講座を利用する場合は、講師に対面で質問したり仲間に相談したりができない環境が学習をやめてしまう原因となりかねません。1人でも継続して学習できるためのサポート体制が整っているかどうかを確認しましょう。
次項からはおすすめの司法書士講座をピックアップし、特徴を挙げていきます。
司法書士試験の合格までは約3,000時間必要?最短合格までの勉強ガイド
司法書士試験の勉強時間は、一般的に3,000時間から4,000時間が目安とされています。これは、毎日2時間勉強した場合、約4年から5年半に相当する時間です。しかし、この数字は決して絶対的なものではありません。合格者の中には2,000時間程度で合格する方もいれば、5,000時間以上かけて合格される方もいらっしゃいます。大切なのは、自分のペースを見つけることです。
司法書士試験は11科目にわたる膨大な範囲を網羅する必要があり、特に不動産登記法と商業登記法の実務的な知識が重要になります。単純な暗記ではなく、法的思考力を身につけることが求められるため、時間をかけた継続的な学習が不可欠です。学習期間は長期戦になることを覚悟し、着実に知識を積み重ねていく姿勢が合格への近道といえるでしょう。
個人の状況による勉強時間の違い
法律知識の有無
法律の学習経験は、司法書士試験の勉強時間に大きな影響を与えます。法学部出身者や行政書士資格者、宅建士などの資格をお持ちの方は、基礎的な法律知識があるため、学習時間を短縮できる可能性があります。特に民法や憲法の基礎知識がある方は、約500時間から1,000時間程度の短縮が期待できるでしょう。
一方、法律を初めて学ぶ方は、法的思考に慣れるまでに時間を要します。法律用語の理解から始まり、条文の読み方、判例の捉え方など、法律特有の考え方を身につける必要があります。しかし、これは決して不利なことではありません。初学者の方が先入観なく素直に学習できる利点もあり、実際に多くの初学者が合格を果たしています。重要なのは、自分の状況を正確に把握し、それに応じた学習計画を立てることです。
社会人の場合
社会人の方の場合、仕事と勉強の両立が最大の課題となります。フルタイムで働きながら勉強される方は、平日は2時間程度、休日は4時間から6時間程度の学習時間確保が一般的です。この場合、合格までに4年から6年程度の期間を要することが多いでしょう。
社会人の強みは、実務経験を活かした学習ができることです。特に不動産や金融関係のお仕事をされている方は、登記実務の理解が深まりやすい傾向があります。また、社会人は集中力が高く、限られた時間を効率的に活用する能力に長けています。時間の制約がある分、メリハリのある学習ができるのです。通勤時間や昼休みなどのスキマ時間を有効活用し、継続的な学習習慣を築くことが合格への鍵となります。
独学と予備校ならどちらにすべきか?
独学か予備校かの選択は、勉強時間に大きく影響します。独学の場合、自分のペースで学習できる反面、効率的な学習方法を見つけるまでに時間がかかることがあります。また、分からない箇所で躓いた際に、解決までに時間を要する可能性があります。独学で合格される方は、強い意志力と継続力をお持ちの方が多く、約4,000時間から5,000時間程度の学習時間を要するケースが一般的です。
予備校を活用する場合、体系的なカリキュラムと講師のサポートにより、効率的な学習が可能になります。疑問点をすぐに解決できる環境や、定期的な模擬試験による学習進捗の確認など、独学では得られないメリットがあります。予備校生の場合、約3,000時間から4,000時間程度で合格される方が多い傾向があります。費用はかかりますが、時間効率を考えると投資価値は十分にあるといえるでしょう。
合格のためのポイント
合格に向けた最重要ポイントは、継続的な学習習慣の確立です。司法書士試験は長期戦であり、一夜漬けで対応できる試験ではありません。毎日少しずつでも学習を続けることで、着実に知識を定着させることができます。また、記述式対策にも十分な時間を割く必要があります。択一式の知識があっても、記述式で点数を取れなければ合格は困難です。
過去問演習は合格への必須要素です。最低でも過去10年分の問題を3回以上は解き、出題傾向と自分の弱点を把握しましょう。また、模擬試験を定期的に受験し、本番同様の環境で実力を測ることも重要です。学習の進捗管理も欠かせません。月単位、週単位での学習計画を立て、定期的に見直しを行うことで、効率的な学習が可能になります。
何より、長期間のモチベーション維持が合格の鍵となりますので、同じ目標を持つ仲間との交流や、合格後の目標設定なども大切にしてください。
司法書士試験の勉強は、通信講座と予備校ならどちらがおすすめか?
司法書士試験の勉強において、通信講座と予備校(通学講座)のどちらを選ぶべきかは、多くの受験生が悩むポイントです。それぞれにメリット・デメリットがあり、一概にどちらが優れているとは言えません。ご自身の性格、ライフスタイル、予算などを考慮して最適な選択をすることが重要です。
以下に、通信講座と予備校のメリット・デメリットを比較し、どのような方にそれぞれが向いているかを解説します。
項目 | 通信講座 | 予備校(通学) |
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学習スタイル | 時間や場所に縛られず、自分のペースで学習できる | 決められた日時に校舎へ通い、決まったカリキュラムで学習する |
費用 | 比較的安い(20万円~60万円程度が目安) | 高額(50万円~80万円程度が目安) |
モチベーション維持 | 強い自己管理能力が必要。孤独を感じやすい | 講師や仲間がいるため、維持しやすい |
質問のしやすさ | メールや質問票など。回答に時間がかかる場合がある | 講義の前後や休憩時間に講師へ直接質問できる |
学習ペース | 自分で計画・管理する必要がある | カリキュラムに沿って進むため、ペースメーカーになる |
学習環境 | 自宅やカフェ、図書館など自分で確保する必要がある | 自習室が完備されていることが多い |
通信講座と予備校(通学)の比較
通信講座を選ぶメリット・デメリット
メリット
通信講座の最大の魅力は、学習の自由度の高さです。仕事や家庭の都合に合わせて、自分のペースで学習を進められます。深夜や早朝でも、録画された講義を視聴できるため、忙しい社会人の方には特に適しています。また、理解が不十分な箇所は何度でも繰り返し視聴でき、じっくりと知識を定着させることができます。
費用面でも予備校より安価に設定されている場合が多く、経済的な負担を軽減できます。移動時間が不要で、通勤時間や休憩時間などのスキマ時間も有効活用できるのも大きなメリットです。現在の通信講座は、オンライン上で質問対応や添削サービスも充実しており、独学に近い不安を解消する仕組みが整っています。
デメリット
通信講座の課題は、学習ペースの管理が個人に委ねられることです。強い意志力がないと、ついつい後回しにしてしまい、学習が滞ってしまうリスクがあります。また、疑問点が生じた際に、すぐに質問できる環境が限られているため、理解が曖昧なまま先に進んでしまう可能性があります。
同じ目標を持つ仲間との交流機会が少ないため、モチベーションの維持が困難になることがあります。特に長期間の学習が必要な司法書士試験では、孤独感が学習継続の妨げになる場合があります。加えて、最新の法改正情報や試験傾向の変化について、リアルタイムで情報を得にくいという側面もあります。
予備校のメリット・デメリット
メリット
予備校の最大の強みは、体系的で計画的な学習環境が整っていることです。経験豊富な講師による生講義では、複雑な法律概念も分かりやすく解説され、その場で質問できるため、理解が深まりやすくなります。また、定期的な模擬試験や答練により、自分の実力を客観的に把握でき、効果的な学習方針の修正が可能です。
同じ目標を持つ受験生同士の交流により、良い刺激を受けながら学習を継続できます。情報交換や励まし合いにより、長期間のモチベーション維持がしやすくなります。さらに、講師や事務局スタッフによるサポート体制が充実しており、学習の悩みや不安を相談できる環境が整っています。最新の試験情報や法改正についても、タイムリーに情報提供を受けられるのも大きなメリットです。
デメリット
予備校の最大の課題は、費用が高額になることです。授業料だけでなく、教材費や模擬試験費用なども含めると、かなりの出費となります。また、決められた時間割に合わせて通学する必要があるため、仕事や家庭の都合で参加できない場合があります。
授業のペースが全体に合わせて設定されているため、個人の理解度に関わらず進行してしまうことがあります。理解が不十分な箇所があっても、授業は先に進んでしまうため、取り残される不安を感じる方もいらっしゃいます。さらに、通学時間も考慮する必要があり、特に遠方にお住まいの方には負担となる場合があります。
【状況別】予備校か通信講座かの最適な選択
社会人で時間に制約がある場合
不規則な勤務時間や出張が多い社会人の方には、通信講座が適しています。自分のペースで学習でき、時間と場所を選ばない柔軟性が最大の利点です。ただし、強い意志力と計画性が必要となります。学習スケジュールをしっかりと立て、定期的な進捗確認を行うことが成功の鍵となります。
週末や夜間に予備校の授業に参加できる方は、通信講座をメインにしながら、重要な単元や苦手分野だけ予備校の単科講座を併用するハイブリッド型も効果的です。このような学習スタイルにより、通信講座の自由度と予備校の充実したサポートの両方を享受できます。
サービス名 | 価格帯 | 特徴 | 学習スタイル |
スタディング | 49,500円〜 | スキマ時間学習特化 | 完全オンライン |
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アガルート | 148,000円〜 | 合格実績重視 | オンライン中心 |
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スタディングは、業界最低水準の価格でありながら、スキマ時間学習に特化した設計が魅力的です。スマートフォンがあれば、通勤時間や休憩時間を有効活用できます。動画講義は細かく分割されており、15分程度の短時間でも効率的に学習できる仕組みになっています。忙しい社会人にとって、この柔軟性は大きなメリットといえるでしょう。
アガルートは圧倒的な合格実績を誇り、オンライン学習でありながら手厚いサポートを提供します。講師への質問回数が無制限で、働きながら学習する際の不安を解消できます。また、合格特典として全額返金制度があり、モチベーション維持にも効果的です。
学習経験が浅い初学者の場合
法律の学習経験が浅い初学者の方には、予備校での学習をお勧めします。基礎的な法律知識から体系的に学べ、経験豊富な講師による丁寧な指導を受けられるためです。疑問点をその場で解決でき、正しい理解のもとで学習を進められます。
また、同じ初学者同士の交流により、学習に対する不安を共有し、励まし合いながら継続できます。予備校では、初学者向けの基礎講座から始まり、段階的にレベルアップしていくカリキュラムが組まれているため、無理なく実力を向上させることができるのです。
サービス名 | 価格帯 | 特徴 | サポート充実度 |
伊藤塾 | 499,000 円〜 ※2026年合格目標 司法書士入門講座 スタンダードコース | 最高峰の実績 | ★★★★★ |
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アガルート | 239,800円〜 | 高い合格率 | ★★★★★ |
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LEC東京リーガルマインド | 349,000円〜 | 老舗の安心感 | ★★★★☆ |
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伊藤塾は司法書士試験対策において他社を圧倒する合格実績を持つ最高峰の予備校です。47万円という高価格設定ですが、その分、講師陣の質と指導内容は群を抜いています。初学者でも理解しやすい丁寧な解説と、個別フォローアップにより、着実に実力を向上させることができます。合格までの道のりが不安な初学者には、この安心感は価格に見合う価値があります。
アガルートは圧倒的な合格率を誇り、初学者向けのサポートが充実しています。講師への質問回数無制限、定期カウンセリング、合格特典など、学習を継続するための仕組みが整っています。また、フルカラーテキストで視覚的に理解しやすく、法律初学者でも無理なく学習を進められます。
LEC東京リーガルマインドは長い歴史と実績を持つ老舗予備校として、初学者向けの基礎講座が充実しています。段階的なカリキュラムにより、無理なく実力を向上させることができます。また、全国に校舎があるため、通学とオンラインを組み合わせた学習も可能です。
費用を抑えたい場合
経済的な負担を軽減したい方には、通信講座が最適です。予備校の半額程度の費用で質の高い講義を受けられ、教材も充実しています。ただし、費用の安さだけで選択せず、サポート体制や合格実績も十分に検討することが重要です。
費用を抑えつつも効果的な学習を行いたい場合は、通信講座をメインにしながら、模擬試験や答練のみ予備校を利用する方法も考えられます。このような使い分けにより、必要な部分にだけ投資し、効率的に学習を進めることができます。
サービス名 | 価格帯 | 特徴 | コスパ評価 |
スタディング | 89,100円〜 | 最低価格帯 | ★★★★★ |
クレアール | 169,000円〜 | 非常識合格法 | ★★★★☆ |
資格スクエア | 165,000円〜 | 効率重視 | ★★★★☆ |
スタディングは圧倒的な低価格が最大の魅力です。89,100円から受講できる司法書士講座は、他社の半額以下の価格設定となっています。低価格でありながら、必要な機能は十分に揃っており、費用対効果は抜群です。スマート問題集や過去問セレクトなど、効率的な学習をサポートする機能も充実しています。
クレアールは「非常識合格法」という独自の学習理論により、必要最小限の学習で合格を目指します。無駄を省いた効率的なカリキュラムにより、時間的にも経済的にも負担を軽減できます。また、万が一不合格でも安心保証制度があり、追加費用なしで翌年も受講できる点も魅力的です。
既に法律知識がある場合
行政書士や宅建士などの資格をお持ちの方や、法学部出身の方は、通信講座でも十分に対応可能です。基礎的な法律知識があるため、自学自習でも効率的に学習を進められます。特に、司法書士試験特有の実務知識に重点を置いた学習が可能です。
ただし、記述式対策については、添削指導が充実した講座を選択することが重要です。択一式の知識があっても、記述式で適切に答案を作成する技術は別途習得する必要があるためです。このような方は、記述式対策に特化した予備校の単科講座を併用することも効果的な学習戦略といえるでしょう。
サービス名 | 価格帯 | 特徴 | 専門性重視度 |
資格スクエア | 165,000円〜 | 看板講師の質 | ★★★★★ |
Wセミナー(TAC) | 298,000円〜 | 実務重視 | ★★★★☆ |
アガルート | 239,800円〜 | 効率的学習 | ★★★★☆ |
Wセミナー(TAC)は実務に直結した内容を重視しており、既存の法律知識を実務レベルまで押し上げる指導力に定評があります。登記実務を中心とした実践的なカリキュラムにより、試験合格後の実務にも直結する知識を習得できます。また、豊富な演習問題と詳細な解説により、理論と実務の架け橋となる学習が可能です。
アガルートは圧倒的な合格実績を背景に、効率的な学習システムを提供します。既存の法律知識がある方向けに、重複する基礎部分をスキップし、司法書士試験特有の論点に集中できるカリキュラムが用意されています。また、無制限質問サポートにより、高度な疑問にも迅速に対応してもらえる点は、知識レベルの高い受験生にとって大きなメリットといえるでしょう。
司法書士試験・予備校に関するよくある質問
働きながらでも司法書士試験に合格できますか?
はい、十分に可能です。実際に、司法書士試験合格者の多くは社会人経験者です。 平日の夜や早朝、週末の時間を有効活用し、計画的に学習を進めることが鍵となります。 仕事との両立は大変ですが、経済的な安定や社会人経験が実務で活きるというメリットもあります。 通信講座などを利用し、スキマ時間を活用して効率的に学習する方が多いです。
法学部出身でなくても不利になりませんか?
全く不利にはなりません。司法書士試験の合格者に占める法学部以外の出身者の割合は高く、ハンデはないと言えます。 法律の学習経験がない方でも、予備校や通信講座の初学者向けコースを利用すれば、基礎から体系的に学ぶことができます。重要なのは出身学部ではなく、合格に向けた正しい努力を継続できるかです。
合格までにかかる平均的な年数はどれくらいですか?
合格までにかかる年数は個人差が大きいですが、一般的には2年~4年程度で合格する人が多いと言われています。 1回の受験で合格する人もいれば、数年かけて合格を掴む人もいます。 1日に確保できる勉強時間や学習の効率性によって期間は大きく変動するため、ご自身のライフスタイルに合わせた無理のない学習計画を立てることが重要です。
独学で合格するのは難しいのでしょうか?
不可能ではありませんが、極めて難しいのが現実です。合格率が約5%という難関試験であり、11科目という膨大な試験範囲を一人で管理し、法改正にも対応し続ける必要があるためです。 実際に合格者の多くは予備校や通信講座を利用しており、独学での合格者はごく少数です。 費用を抑えられるメリットはありますが、挫折しやすく、結果的に時間がかかってしまう可能性が高いです。
予備校や通信講座の費用はどのくらいですか?
初学者向けのコースで、通信講座の場合は10万円~30万円程度、通学も可能な大手予備校の場合は40万円~70万円程度が目安です。 講座内容やサポート体制によって価格は大きく異なります。オンラインに特化した講座は比較的安価な傾向にあります。 多くの予備校では割引キャンペーンや合格者返金制度なども用意されています。
自分に合った予備校や通信講座の選び方を教えてください。
まずは、講義の分かりやすさ、教材の質、サポート体制、そして合格実績を比較検討することが重要です。 多くの予備校が無料の体験講義や資料請求を提供しているので、実際に試してみて講師との相性を確認しましょう。また、自分のライフスタイル(通学か通信か)や予算に合わせて、無理なく続けられる講座を選ぶことが合格への近道です。
択一式と記述式の勉強法の違いは何ですか?
択一式は、正確な知識をインプットし、過去問演習を繰り返すことで正誤判断のスピードと精度を上げることが中心です。 一方、記述式は、択一式で得た知識を前提として、申請書のひな形を確実に暗記し、複雑な事案を正確に読み解き、時間内に答案を作成する実践的な訓練が求められます。 択一式の学習が記述式の土台となりますが、記述式特有の対策は別途必要です。
どの科目から勉強を始めるのが効率的ですか?
多くの予備校のカリキュラムや合格者が推奨しているのは、全ての法律の基礎となる「民法」から始める方法です。 民法を理解することで、不動産登記法や商法など他の科目の学習がスムーズに進みます。その後は、関連性の高い「不動産登記法」、そして「商法・会社法」と「商業登記法」をセットで学習していくのが効率的とされています。
司法書士試験の合格率はどのくらいですか?
司法書士試験の合格率は、例年約4~5%で推移しており、非常に難易度の高い国家資格として知られています。 受験資格に制限がないため誰でも受験できますが、合格するためには相応の学習時間と努力が必要です。合格基準点は毎年変動する相対評価の試験であり、他の受験生との競争に勝つ必要があります。
司法書士資格の将来性やキャリアについて教えてください。
司法書士の将来性は高いと言えます。AIによる代替が懸念される業務もありますが、複雑な権利関係の整理やコンサルティング業務は人にしかできません。 特に高齢化社会の進展に伴い、相続登記の義務化や成年後見、家族信託などの分野で需要が拡大しています。 独立開業だけでなく、企業内司法書士など多様なキャリアパスも広がっています。
まとめ
司法書士講座を選ぶには、合格実績や価格、教材の質など複数の項目で比較が必要です。各社学習スタイルもさまざまなので、自分がどのように学習を進めたいのかをイメージしたうえで比較してみるとよいでしょう。
自分にあった講座を選び、ぜひ合格を勝ち取ってください。